パレスチナの現状を描いた『オマールの壁』と『パラダイス・ナウ』~壁は私の中に存在する。

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先月『オマールの壁』を見た後、感想を書こうと思って書けず、先日同じ監督の前作『パラダイス・ナウ』を見て、やはり書き残しておこうと思いました。

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『オマールの壁』あらすじ

長く占領状態が続くパレスチナでは、イスラエルによる分離壁が建設されている。壁は、イスラエルとパレスチナの境界ではなく多くがパレスチナの内部にある。

パン職人のオマールは、監視塔からの銃弾を避けながら分離壁をよじのぼっては、壁の向こう側に住む恋人ナディアのもとに通っていた。

仲間と一緒にイスラエルへの抵抗活動を行ったオマールは、イスラエルの秘密警察より拷問を受け、一生囚われの身になるか仲間を裏切ってスパイになるかの選択を迫られる。

秘密警察に脅されていたのはオマールだけではなかった。仲間の中に不信と裏切りを生み出すのが秘密警察の狙いだった。

予告動画

主演のアダム・バクリのインタビュー

アップリンクのHPに、主演俳優アダム・バクリが来日した際の
インタビューがありました。その一部。

──あなたにとって分離壁とはどんな存在ですか?
壁はイスラエルが不正に占領を続けているという証明です。また、こんなに巨大で醜い壁が、イスラエルや米国の多くの市民から支持されているという事実には驚くばかりです。
僕が望んでいるのは、しばらく経って分離壁がなくなることです。そして50年後くらいのイスラエルで、
「俺たちは21世紀にもなって、なんてバカなことをしたんだろう!」
と教訓にしたり、笑い話にできるような時代が来ることです。

これを読んで、鄭義信さんの「たとえば野に咲く花のように」を思い出しました。主人公・満喜のセリフに、アダム・バクリが語った内容と似たものがあったからです。
ブログにも感想を書きました。

満喜のセリフで「私たちの苦労なんて、50年後にはみんな幸せになっているから忘れられているわよ」というようなのがあります。すでに65年経ったのに、在日の方たちへの差別、ヘイトスピーチなど、「みんな幸せ」には程遠い現状です。

今の私たちは、50年後という未来を、希望を持って語れるか・・・
映画の本題からは外れますが、そんなことも考えました。

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『パラダイス・ナウ』あらすじ

イスラエル占領地のヨルダン川西岸地区の町ナブルス。
主人公のサイードは、幼馴染の友達とともに自爆殉教者に選ばれる。
しかし途中で計画が狂い、二人ははぐれてしまう。

組織から「裏切り」を疑われたり、
好意を寄せる女性から「ほかの方法があるはず」疑問を投げかけられたり、
自分の父親が「密告者」だった過去に苦しんだり、
自爆への葛藤を描いています。

予告動画

感想

「組織」の上層部が自ら自爆テロを行うことはなく、
自爆テロを実行するのは若者たちです。
このことが、とても印象深く描かれていました。

司令塔と実働部隊は異ならざるを得ないのかもしれませんが、
司令塔は、痛みや葛藤を直接味わわないので、
「これが正しいのか」「ほかの方法はないのか」
と悩むこともなく、硬直化してしまうのか。

被ばくの危険はないのか、わが子が戦争に行く危険が・・・
痛みや葛藤を味わうことのない政治家たちには分かりようがないのだろう、
わが事に引き寄せて考えてしまいました。

『パラダイス・ナウ』は特別上映だったようですが、
『オマールの壁』はまだ見られるところがあるようです(公式HP)。

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