映画『教授のおかしな殺人妄想』、ウディ・アレンの分身の行く末

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ようやく前期授業が終わり、久しぶりに映画を見に行きました。

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キャスト・スタッフ

監 督:ウディ・アレン
エイブ:ホアキン・フェニックス
ジ ル:エマ・ストーン
リ タ:パーカー・ポージー
ロ イ:ジェイミー・ブラックリー
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公式HPより

わたし
ウディ・アレンの作品は好きだというと、「俺ってインテリ~」と言っているようで嫌だなと思うのですが、私自身、ウディ・アレンの作品が好きです。

「インテリ~」と思っている人を、外の視点から冷笑するというのが、さらに洗練された感じがするのでしょうね。

あらすじと感想(ネタバレあり)

アメリカ東部の大学に赴任してきた哲学科の教授エイブは、人生の意味を見失い、孤独で無気力、自殺願望すらあった。それでも、同僚の女性リタや、学生のジルから好意をよせられる。

でも・・・。
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わたし
エイブは若いころ、ボランティアなど社会的正義のための活動をしていたけれど、挫折したといいます。ここに感情移入できてしまう人は、結構多いのじゃないかと思いました。私も含まれます。

生きる目的

ある日、レストランで偶然、悪徳判事の噂を耳にしたエイブは、その判事を毒殺すれば社会のためになると夢想し、新たな目的を見い出したことで、エイブは心身ともに元気になり、ジルとの恋愛も楽しむ。

ジルには両親公認のボーイフレンドがいるのですが。
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わたし
悪徳判事との接点がまったくない自分は、疑われない。
ターゲットの日常を観察したり、毒殺の道具をそろえたり、毎日忙しくなる。
正義の完全犯罪。血沸き肉躍る興奮があるでしょうねえ。

妄想殺人じゃなかった

タイトルに騙されました。実際に、毒殺を実行してしまいました、エイブ。
どんなに「正義を実現するため」であっても、殺人となれば、
「本当に正しいのか」と逡巡したり、実行後に後悔したりするのもですが、
エイブには達成感しかない。

わたし
今の制度では、弱者が泣き寝入りするばかりで、強者が裁かれることがない。
それを正す「闇のヒーロー」。最近、『ヒーラー』や『シティハンター』など、闇(違法な手段)で正義を実現するヒーローものに傾倒しているので、エイブに共感しながら見ていました。
でも、『ヒーラー』のジョンフも『シティハンター』のユンソンも、人は殺さない。この一線を越えると、『君の声が聞こえる』のミン・ジュングクになってしまう。

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ジルにばれる

判事殺害の事件報道について、エイブと意見交換しながら、
ジルはエイブに疑念を抱き始めます。
ジルはエイブの部屋で、ドストエフスキーの「罪と罰」を見つけ、その余白に、ハンナ・アーレントの「悪の凡庸さ」という言葉がメモされているのを見て、確信します。

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わたし
さすが哲学科ですね。
「罪と罰」では、正義のために金貸しの強欲老婆を殺した青年は罪の意識に苦しむ。ナチスの犯罪は、思考を停止した凡庸な人々が手を下した。
つまり、正義のための犯罪はアリだけど、人を殺す一線を越えると悩む。そこは思考を停止してしまえ、ということでしょうか。

殺人のおとしまえ

それでも、エイブは自分の行動が正しかったと疑わない。
そうこうするうちに、別の人間が容疑者として捕まったと報道される。
自首をしろと責めるジル。
しかしエイブは、「一人殺したら、歯止めがきかなくなる」と、ジル殺害まで企てます。
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でもその結末は、言わずと知れていた。
エレベーター事故にみせかけた殺害計画でしたが、逆にエレベーターに落ちたのはエイブでした。
ジルのカバンから落ちた懐中電灯を踏んだエイブが足を滑らせたのです。
この懐中電灯は、射撃ゲームでエイブが勝ち取ってプレゼントしたものでした。

わたし
なるほど、「犯罪はダメだ、自首しなさい」というジルに「光」が照らされたということでしょうか。
一通り「社会正義のための活動」をしてきたけれど無気力に落ち込んだエイブ。
制度が完全ではないから、多少の「法の逸脱」はアリとはいえ、
気難しいエイブが、生きる喜びを感じるには、一線を越えるしかなかった、だなんて救いがありませんね。

以前の「マジック・イン・ムーンライト」でも、「マジックを信じちゃえばハッピーだ」というラストでしたが、一線超えるならマジックの方がマシですね。

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