映画『未来よ こんにちは』親の看取り、子の独立、離婚。人生後半戦。

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韓国映画ではありませんが、ブログを見てくださっている方の中に似た境遇の方も多いのではないかと思います。

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スタッフ・キャスト

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公式HPより

監督・脚本:ミア・ハンセン=ラブ
50代の女性の話なのに、監督は36歳!両親が哲学の教師なので、親がモデルになっているようです。

ナタリー:ザベル・ユペール
主人公の女性です。映画は50代後半くらいの設定ですが、本人は64歳。
韓国のホン・サンス監督作品「三人のアンヌ」で主演しています。

ハインツ:アンドレ・マルコン
ナタリーの夫。同じ哲学教師だけれど、「時間厳守と静粛は生徒の務め」という固い人。

ファビアン:ロマン・コリンカ
ナタリーの教え子で教師になったけれど、執筆に専念。若くて優秀で、師を越えていく。

イベット:エディット・スコブ
ナタリーの息子。「出来の悪い息子より出来の良い教え子がいいんでしょ」とひがみっぽい。

クロエ:サラ・ル・ピカール
ナタリーの娘。父親の浮気を知り「どちらか選んで」と迫る。

予告編

何事も起こらない映画

あらすじは、
「パリの高校で哲学を教えているナタリーは、教師の夫と暮らし、2人の子ども独立して充実した人生を送っていた。ところが突然、夫からは離婚を切り出され、年老いた母も他界。気が付けばおひとり様になっていた。」

本当に、これだけの話です。

「気がついたら一人」という場面で、ありがちなのは、
無くなってみてわかる家族の絆とか、
一人の時ほどありがたい女友達とか、ですが、
そうならなかったのがよかったです。

夫のハインツ。
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女性の50代ならよくあること

離婚して、親を看取り、子供が独立。
仕事の面でも、50代はまだ現役バリバリですが、
優秀な新人、後輩たちも出てきます。

まさに50代の私は、主人公ナタリーと重なります。
共感できる部分がものすごく多すぎて、苦しいくらいでした。

私は、20年前に離婚、14年前に母が亡くなっていますが、
今年娘の就職を機に、引っ越して一人暮らしを始めました。
映画の主人公ナタリーは哲学の高校教師で、
私も韓国語を教える仕事をしています。

優秀な教え子が卒業後にも慕ってくれるのはものすごくうれしい一方、教え子が自分より先を行っている、自分の時代は終わったんだ、ということも突き付けられます。

時代が求めるものとのズレが生じても、
ナタリーにとって哲学は、自分の仕事であり、専門であり、ライフワークであり、
「一人」の自分を支えます。

予告編の冒頭のセリフは、映画の最後の部分です。
ナタリーが授業で紹介しているルソーの言葉。

「人生は欲望があれば幸福でなくても期待で生きられます。
幸福を手に入れる前ほど幸福なのです」

具体的に言えば、
遠足は行く前の方が楽しくて、いざ遠足に出発するとそれほど楽しくない
ということですね。

幸福がこなければ希望は延びる。
何も欲望するものがなくなれば、全て失ったことと同じ。
手に入れたものより、期待するものの方が楽しい。

なるほど。
それが「未来」ということですね。

教え子ファビアン。
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大人の離婚

夫の浮気は、かなり前から続いていたようです。
現状維持も可能だったけれど、あえて離婚を切り出したのは、
娘に「どちらか選んで」と言われたから。

夫に「好きな人できた」と言われた時、ナタリーの第一声は、
「なぜそれを私に言うの?」でした。
ナタリーも、恋人の存在に蓋をして、現状維持に一票だったのでしょう。

だから離婚は、同居の解消以上の意味を持ちません。

でも、離婚そのものには淡淡としていても、
休暇を過ごす場所だった夫の実家、丹精こめた庭の植物、
それらを手放す、と考えると、涙があふれる。

一緒に過ごした時間、場所、記憶、思い出って、夫への愛情とは別物で、
自分の体の一部になっているような、言ってみれば「習慣」です。
習慣を変えるのは、気が進まないものです。
頻繁に思い出すし、不便を感じるし、喪失感が大きい。
でも、慣れるんです。



復縁とか新たな恋愛とか

妻に愛想を尽かしたというわけではないので、
母親のお葬式や、家に残した荷物を取りに来たり、
孫が生まれれば身に来たり、離婚後も接点はあります。

私も、子供の父親と「事務連絡」はとっているので、
ナタリーと元夫の関係は、ものすごくリアルです。

休暇は恋人と過ごさず一人だと聞けば、ちょっと可哀そう、
という同情も、するかもしれないけれど、
そこで「なあなあ」になってしまうと、それは、ただの
都合のいい女にすぎない。

ナタリーが映画を見に行ったときに、
「君はきれいだ」と言われました。
恋人候補にはなり得ないストーカー・変質者っぽい人でしたので、振り切りましたが、こういう「傷んでいるとき」に寄ってくる男はろくでもありません。

ネコとスカート

人生の節目を淡淡と描いた映画ですが、ナタリーの変化を象徴していたのが、ネコとスカートでした。

母親がパンドラという黒ネコを残して亡くなってしまい、ナタリーは猫アレルギーなのですが、それでも引き取りました。
ものすごく迷惑がって、「あっちへいってて」とじゃけんに扱っていたけれど、姿が見えないと心配したり、抱きしめたり。じわっときました。

それから、節目の前は、ズポン姿でぱたぱた忙しそうにしていたのが、節目の後は、スカートをはいているんですね。

私は猫アレルギーもないし、もともと「うちのネコ」はかわいがっていましたが、一人暮らしを始めてから、ネコを抱きしめる頻度が上がりました。一人暮らしは開放感だけで寂しさはないのですが。

そして、今までスカートと無縁だったのが、引っ越してからスカートをはき始めました。
仕事や育児にスカートは不向きでしたが、余裕ができると「エレガント」に暮らしてみたくなったので。

年を重ね、失うものも多いけれど、その分、余裕もうまれた。
まだ目の前に広がる未来があるから、前進しよう。
と思える映画でした。

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印象的な音楽

予告編で流れているBGM。シューベルトです。
Auf dem Wasser zu Singen

優秀な教え子ファビアンが口ずさむウディ・ガスリーの曲。
Ship In The Sky

ラストシーンでナタリーが子守唄で歌う曲。「ゴースト」バージョンで。
Unchained Melody

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