映画『ベイビー・ブローカー』俳優が超豪華なわりに…
やっと見てきました『ベイビー・ブローカー』。カンヌで最優秀男優賞（ソン・ガンホ）、監督賞（是枝監督）を受賞したというニュースの影響でしょうか、結構お客さんも入っていました。上映後、周りのお客さんたちの会話に耳を澄ましてみると、おおむね好意的な反応だったようです。
『ベイビー・ブローカー』
原題：브로커（ブローカー）2022年 129分
サンヒョン：ソン・ガンホ
（クリーニング屋だが、赤ちゃんブローカー）
ドンス：カン・ドンウォン
（ベビーボックス施設の職員でサンヒョンのパートナー）
ソヨン：IU（イ・ジウン）
（赤ちゃんを捨てに来た母親）
スジン：ペ・ドゥナ
（ブローカーを追う刑事）
イ刑事：イ・ジュヨン
（スジンのパートナー）
あらすじ
クリーニング屋のサンヒョンは、
ベビーボックスに捨てられた赤ちゃんを横取りし、
養子にあっせんするブローカー業でお金を稼いでいた。
転売目的の顧客もいるので、顧客に直接会うため全国を回っている。
一方、刑事のスジンらは、赤ちゃん売買の現行犯逮捕を狙って、
サンヒョンら一行の後を追う。
予告編
（画像をクリックすると動画になります）
韓国での評価
カンヌ受賞の好材料はあるものの、
韓国内での興行はわりとふるわず・・・
2022年6月8日に公開され、一ヵ月過ぎた時点での観客数
125万人
2022年5月18日に公開された
『犯罪都市２』の観客数が
公開3週目にして1,000万を突破したことを考えると、
韓国での興行は、「成功的」とはいいがたい状況です。
是枝作品は、ストーリーの流れが静かで、
会話だけでなく、なにげない仕草などから「行間を読む」
必要もあったり、
もともと爆発的ヒットするタイプの作品ではないかもしれません。
そうはいっても、
主演級の超豪華俳優陣なだけに
俳優の演技はほんとうに非の打ちどころなく、
そこに、カンヌ受賞という話題性
などを考えると、
125万人で止まってしまうのか・・・
と、ちょっと意外でした。
韓国で好評でなかった理由
実際に映画を見てみて感じたのは、
セリフの違和感
でした。
日本語で書かれた台本を韓国語に翻訳しているので、
韓国語のセリフが、硬いというか、翻訳調に聞こえるのです。
実際に、韓国のレビューにも
日本語：ウソン、一緒に幸せになろうな
韓国語：우성아, 우리 같이 행복해지자꾸나
この文語体のセリフを、消化したソン・ガンホはすごい
というコメントがありました。
日本の観客は、日本語字幕をみるので、
韓国語のセリフよりも自然な会話を楽しめたはずです。
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『ベイビー・ブローカー』私の感想
扱っているテーマである
赤ちゃんボックス
について、
冒頭、女性刑事が
捨てるなら、生むなよ
버릴거면 낳지를 말았어야지
と批判します。これが世間一般的な感情なのでしょう。
それに対して、子どもを捨てようとした母親ソヨンに
母親は責められ、なぜ父親は責められないのか
というセリフがあったのはよかったです。
でも後半、刑事と対面したソヨンのセリフ
生んでから捨てるのより、生む前に殺す方が罪は軽いのか
낳기 전에 죽이는 게 낳고 나서 버리는 것보다 가벼운 죄냐
最後に、ソヨンが赤ちゃんとサンヒョンら仲間に伝えたセリフ
生まれてきてくれてありがとう
태어나줘서 고마워
ここら辺が、監督のメッセージなのでしょうけれど、
やっぱり男性監督による母性幻想なのかなあ・・・
と思ってしまいました。
というのは、
妊娠した女性は出産することを希望する
出産した女性は本当は赤ちゃんを手放したくない
というのが前提になっているんじゃないかと感じたからです。
中絶する女性
子どもを育てきれない女性
は、やはり非難されるのかなあ、
と釈然としない思いが残りました。
正直に告白すると、私には、
女性にとって妊娠・出産は「幸せ」だけではない複雑さ
というものが、男性に理解できるはずはない
という偏見があるんですね。
正直ついでに言ってしまうと、
『ベイビー・ブローカー』を見て、
日本人監督が、
韓国で、韓国人俳優を使って映画を作るメリット
というのは感じませんでした。
このデリケートな主題について、
むしろ、韓国人の女性監督が作ったら、
また違うアプローチができたんじゃないだろうか、
とか・・・。
『ベイビー・ブローカー』
期待が大きかった分、辛口な感想になってしまいました。
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皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように！
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