映画『キングメーカー』ヒットしなかったけれど、高く評価された作品ー実在の登場人物たち
シネマート新宿で『キングメーカー』見てきました。ぱっと見ると「昔の話」という印象ですが、描かれている1970年代、80年代って、私自身の青春時代なんですよね。年取ったんだなあとしみじみ思いました。
映画『キングメーカー』
2021年1月公開(韓国)
原題:킹메이커(キングメーカー)
監督:ピョン・ソンヒョン
(『名もなき野良犬の輪舞(불한당:不汗党)』の監督さん)
キャスト
キム・ウンボム:ソル・ギョング
ソ・チャンデ:イ・ソンギュン
あらすじ
ソ・チャンデは、キム・ウンボムに手紙を書き、
選挙を手伝わせてほしいと願い出る。
チャンデの選挙手法により、キム・ウンボムは選挙で勝利を収めるが、
そのまっとうではない手法に納得できず、
ウンボムはチャンデを選挙チームから外す。
事実に基づいているけれど実名じゃない
ほぼほぼ事実に基づていて、
なぜ実名にしないのか、本当に不思議です。
韓国に長く住んでいれば、
あ、これはあの人
とすぐに分かる人が大部分でしょうけれど、
私のように中途半端な知識だと、
確信もてないので、モヤモヤします。
かつてチュ・ジフン主演の「暗数殺人」で
被害者遺族から訴えられたり、
ということもありますので、
事実をもとにした作品ならではのリスクを回避するため
仮名にしたのかもしれません。
さらに、作中、
過去に実際に放映された映像のように見える
白黒部分ですが、
これも役者たちが演じたものです。
見れば分かることとはいえ、
私は最初、騙されました(笑)。
凝ってますねえ。
『キングメーカー』実在の人物
ソル・ギョングが演じるキム・ウンボムは、キム・デジュン
全然似ていませんが、
さすが百想芸術大賞で男性最優秀演技賞を受賞しただけに、
似ていないのに、キム・デジュンに見えてくるから不思議です。
キム・デジュン元大統領は、
1997年から2003年まで大統領を務め、
2009年に85歳で亡くなっています。
映画では、ソ・チャンデが心酔する人物で、
終始一貫して「正しい政治家」として描かれています。
キム・ウンボムがなぜ「正しい政治家」なのか、
彼の背景は描かれていないのは、
モデルがキム・デジュンである、というだけで十分だからでしょう。
ここらへん、韓国近現代史が必須である映画
という敷居の高さを感じさせます。
スポンサーリンク
イ・ソンギュンが演じたのはオム・チャンノク(엄창록)
映画でも「影(그림자)」と言われていただけに、
誰もが知っている人物ではありません。
この映画を見て、
慶尚道VS全羅道の地域感情を作った人!?
と初めて知って驚いた人が多いと思います(私も!)
韓国の地域感情は、
三国時代からあったとか、朝鮮時代からあったとか
言われますが、
実はたかが1970年ころに生まれたものだったんですね。
だったら、さっさと解消できないかしら、とも思います。
映画のラストシーンについて
映画では、1971年の大統領選挙で、
朴大統領が再選を果たし、キム・ウンボムが負けたところで終わります。
1971年大統領選挙から17年後、
1988年に、チャンデとウンボムが食堂で対面している場面。
これはチャンデの妄想でした。
なぜかというと、
1988年にはチャンデはすでに亡くなっていたからです。
1971年の大統領選挙当時、
「影」で手段を選ばず戦って来たチャンデは、
一線を越えた手法を使い、ウンボムのチームから外されます。
その後、権力側の「影」、イ室長と組んで
地域感情をあおる方法を使って、
朴大統領を再選させました。
↓チョ・ウジンが演じたイ室長。モデルはイ・フラク中央情報部長。
朴正熙政権のまさに「影」、政治工作にも拷問!にも長けた人物。
イ室長の顔に、自分の顔を見たのでしょう。
「影」の醜さを思い知ったソ・チャンデ=イム・チャンノクは、
あこがれの「光」であるウンボム=キム・デジュンのそばに
醜い「影」がいてはいけないと考え、
生涯、キム・デジュンと顔を合わせなかったそうです。
実際のイム・チャンノクは、1987年に死亡しました。
大統領選挙直後だったそうです。
キム・デジュンの選挙結果を確認して、息を引き取ったと言われています。
映画のタイトル「キングメーカー」ですが、
ソ・チャンデは結局、自分の手で
キングを作ることはできなかったんですよね。
よろしかったらお願いします!
韓国語ランキング
自己紹介はこちら
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
スポンサーリンク
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。