ネットフリックスオリジナルドラマ『エマ』コメディというより時代もの

ドラマ『エマ』、出演する俳優さんたちは演技に定評あるひとたちですが、いわゆる「韓流スター」が出て来る作品ではないので、日本での期待値はそれほど高くなかったかもしれません。
ネットフリックスオリジナル『エマ』
2025年8月22日公開
チョン・ヒラン:イ・ハニ
(トップ女優)
シン・ジュエ:パン・ヒョリン
(新人女優)
ク・ジュンモ:チン・ソンギュ
(シンソン映画社の代表)
あらすじ
1980年代、シンソン映画社は「エマ夫人」の制作を決定するが、「もう脱ぎたくない」ヒランは主演を断る。
ク・ジュンモは新人ジュエを器用し映画はヒットするが、その裏で性接待で犠牲になってきた女性たちがいた。
「エマニュエル夫人」の「エマ」を、
漢字の「愛馬(韓国語発音でエマ)」を当てはめたので、
映画「エマニュエル夫人」のポスターなどはやたら馬が登場します。
ドラマ「おつかれさま」で、
アイユが演じたクンミョンの夫になるチュンソプと出会うのがちょど1980年代で、
チュンソプが映画館で「エマ夫人」の看板を描いていました。
馬3頭だか、4頭だかの絵で、映画館の館長さんに怒られていましたね。
ドラマ「エマ」では、「愛馬」を「愛麻」に変更を強いられる場面もありました。
『大統領暗殺裁判』とセットで
『大統領暗殺裁判』(韓国語原題:행복의 나라 幸せの国)は、
韓国では2024年8月に公開されましたが、日本での公開が2025年8月22日。
私がドラマ『エマ』を見たのが、偶然「大統領暗殺裁判」を見た直後でした。
1979年の朴正熙暗殺を企てた人物の裁判過程を描き、
映画は、全斗煥が政権を握ったところで終わります。
ドラマ『エマ』は、ちょうど1980年代の幕開けから始まります。
時代を象徴するキーワード、3つ紹介します。
全斗煥政権の3S政策
Sport、Sex、Screen(スポーツ、セックス、スクリーン)に力をいれて、
国民の関心を政治からそらそうとする愚民化政策
ドラマの冒頭、シンソン映画社の代表ク・ジュンモが、
3S政策だからエロ映画だ!エマ夫人を作るぞ!
と宣言するパーティ場面があります。
夜間通行禁止の解除
통금:トングム(通禁)
夜0時から朝4時まで外出が禁止されていたのが、
1982年1月に解除されました。
通行禁止が解除され、夜間上映が可能になったから
「エマ夫人」を見るお客さんが増えました。
国家安全企画部
안기부:アンギブ(安企部)
朴正熙時代の情報機関「中央情報部」の後続組織として作られました。
反政府活動とみなされると、関係者は拷問を伴う取り調べを受けました。
ク・ジュンモらが女優を使って高官らを性接待していたと暴露したとき、
関係者らが安企部で拷問をうけました。(処罰のためでなく口封じのため)
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映画『大統領暗殺裁判』で、
1960年代と70年代に独裁者として君臨していた朴正熙を暗殺したのは、
民主化のためだったとして、被疑者らの弁護士たちは奔走しましたが、
結局、新たな独裁者・全斗煥が登場して、民主化の夢は砕かれました。
映画は、結局1980年代も、独裁者による政治がつづくのだ、という
バッドエンディングでした。
でもドラマ『エマ』では、そうした「暗い」世の中であっても、
したたかに生きている人々が描かれています。
韓国での『エマ』リビューを見ると、
コメディというわりに笑えない
前半と後半で雰囲気が変わりすぎてついていけない
チョン・ヒランのキャラが急変して一貫性がない
女の連帯はよいが、男が悪役ばかり
など、ネガティブな評価が目につきました。
日本ではたまたま『大統領暗殺裁判』の公開と重なり、
あのあとの世の中って、こんな感じだったのか
と関連づけると、とても興味深く見ることができます。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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