映画『将軍様、あなたのために映画を撮ります』 北朝鮮に拉致された映画人のドキュメンタリー
新聞で紹介されていたので見てみました。
『将軍様、あなたのために映画を撮ります』あらすじ
公式HPより
1978年に女優、崔銀姫(チェ・ウニ)と映画監督、申相玉(シン・サンオク)が北朝鮮に拉致され、1986年にアメリカに亡命。
北朝鮮にいる間、申監督は北朝鮮への協力を拒否して拷問生活が5年続き、
その後、金正日の依頼で3年間に17本もの映画を作成したそうです。
申監督は2006年に病死しましたが、崔銀姫はご存命で、この映画でも主要な語り手になっています。
ロバート・カンナン監督によるイギリス映画です。
予告編
「こんな話、だれも信じてくれないだろう」と思って申監督が金正日との会話などをこっそり録音していたテープが発見され、それをもとにイギリス人監督がドキュメンタリーを作ったそうです。
崔銀姫さんとその子供たち、元アメリカ諜報員や元アメリカ国務省の人などの証言と、申監督が作成した映画の場面をつないだ映像で事実が述べられていきます。
この映画の貴重さ
金正日は、自分の声にコンプレックスがあったために、公の場でもほとんど演説をしなかったそうで、彼の肉声が録音されているということ自体、貴重な資料だそうです。
有名な俳優と監督が拉致され、北朝鮮で映画を量産した、ということも信じがたい事実です。
拉致される前、韓国では借金に苦しんでいたこと、
北朝鮮では、映画のためにいくらでもお金が使えたこと、
金正日が映画につよいこだわりをもっていたこと、
証人たちが当時について語っていることが「証拠」になるわけです。
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この映画の難点
がっちりと閉ざされた国、北朝鮮に関する一面を知ることができる貴重な映画なのですが、
今回入手された情報源が「テープ」、つまり音声で、
その裏付けをする「証人の語り」も、音声なんですね。
画面は、申監督が作った映画の場面を、音声で語られる内容に近いものが切り貼りされています。
内容を理解するために、相当な集中力が必要です。
体力限界状態でいくと、まぶたが言うことを聞きません・・・。
それから、最後に崔銀姫さんが、
「私たちが経験したことを映画にとるなら、つらかったことは描きません」
と言いながら、涙をこらえられなくなります。
このドキュメンタリーの中でも、語っていないことがたくさんあるんだろうな、
と思いました。
それにしても。
映画作りって、ものすごくお金と労力がかかり、だからこそなのか、
映画作りの、危険な魅力は十分に伝わってきました。
上映スケジュールなど、公式HPでご確認ください。
金正日の資金ですからプロパガンダ映画とはいえ、かなり自由に撮っていたようです。
日本でも上映されたらしい怪獣特撮映画「プルガサリ」
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