映画『私のオオカミ少年』ソン・ジュンギの「見つめる演技」が切ない

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2012年の作品ですから、今より5年若いソン・ジュンギです。ということは、26、27歳ですが、映画では17、18歳くらいの設定でしょうか。

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韓国文化院に会員登録をしてあるので、イベントの案内メールがきます。
文化院ではときどき韓国映画企画上映会があり、今回は「韓国映画の次世代を担う若手俳優作品特集」ということで、その第1弾がソン・ジュンギ主演「私のオオカミ少年」。

日本での上映は2013年だったようですが、まったくノーマークでタイトルも知りませんでした。
若い頃のソン・ジュンギも見てみたいな~
でも平日の夜に出かけるのは面倒くさいな~

迷っていたら、なんと!GYAO!の映画ラインナップに入っていました。
韓国文化院がお勧めするならと、迷わず見てみました。

『私のオオカミ少年』キャスト

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監督:チョ・ソンヒ
脚本:チョ・ソンヒ

狼少年:ソン・ジュンギ
スニ:パク・ボヨン

あらすじ

年はとっているけれど、きれいなお祖母さんが、
息子夫婦と一緒に、どうやらアメリカで暮らしているようです。
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ある日、電話がかかってきて、お祖母さんは韓国へ行く用事ができたと。
母国留学している孫娘の案内でお祖母さんは田舎の古い民家へ。
お祖母さん名義になっているその家を売るかどうかという話らしい。

ここから47年前のお祖母さんの回想が始まります。

病弱な少女とオオカミ少年

スニは、母親と妹と一緒に田舎の古い家に引っ越してきます。
肺病を病んでいるスニのための引っ越しで、
父親はすでに他界。父の仕事の関係者が家を手配してくれたようです。

病弱な少女は学校にいっていなくて、友達もいなくて、
家族の重荷になっていると気兼ねするわりに素直になれない17歳。

その家の納谷には、オオカミ少年が住みついていていました。
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47年前といえば朝鮮戦争などの混乱から孤児も多かった時代。
役所でも孤児の面倒は見てくれそうもなく・・・。

女手一つで目が回るほど忙しい母親が忙しいついでに面倒もみて、
田舎は子供も少ないので、子供たちの遊びの輪にも自然にはいり、
オオカミ少年につられて、病弱なスニも外遊びをするようになり。

スニはオオカミ少年を「しつけ」します。
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結局、オオカミ少年はスニ家族に受け入れられ、
チョルスという名前をつけてもらいました。

スニの、ギターの弾き語りを聞くチョルス。
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「しつけ」で褒められると頭をなでてくれるので、
チョルスはうれしい気持ちの表現としてスニのあたまをなでなで。
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オオカミ少年の正体

スニの父親の仕事を乗っ取った男の息子ジテ。
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酔っぱらって、夜中にスニの家にきて、乱暴しようとしたとき、
それを見たチョルスは、
怒りパワーが充満して、本当のオオカミ男になってしまった!

チョルスは、オオカミに育てられたからオオカミっぽいのではなく、
スニの家に、昔住んでいた研究者が、
「強い兵士を作る」
という目的で、作り出したオオカミ男だという。


迫害されるチョルス

チョルスが怖いし邪魔だし、消えてほしいジテと、
その研究者はすでに亡くなり、事情を知る友人の研究者と、
その研究が明るみになっては困る政府関係者などが出てきて、

よってたかって、チョルスを研究対象にしたり、
殺そうとしたり、
鎖でつながれて、監視されています。
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チョルスがオオカミ男と知っても、スニとの信頼関係は変わらず。
スニは、チョルスに勉強を教えます。
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字を覚えて、私にこの本を読んでね、とか、
雪が降ったら、一緒に雪だるまを作ろうね、とか。

オオカミ少年との別れ

ジテの策略で、チョルスは村の人々の前でオオカミ男に変身してしまい、
スニを連れて山の中に隠れます。

警察がチョルスを捕まえたら殺されるだろうから、
スニは自分一人で山を下りるから、チョルスに逃げろと言います。
石を投げたり、嫌いだと言ったり、大泣きのスニに、
チョルスが初めてしゃべった言葉。가지 마.
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47年間待っていたチョルス

回想が終わり、現在。
昔住んでいたスニ名義の家を、売るかどうか。
とりあえず、その家に一泊することにし、その夜。

チョルスが閉じ込められていた納谷に行くと、なんと、
47年前の姿のままのチョルスがいた。
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チョルスは約束通り、スニに「雪だるま」の本を読んであげます。

翌朝、お祖母さんスニは「家は売らない」と伝え、
元の暮らしに戻っていきます。

エンドロールで、スニとのもう一つの約束、雪だるまを一人で作るチョルス。
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感想

オオカミ少年とか、宇宙人とか、人魚とか、
自分と違う「異質」なものを排除したがるというのが、
人間の悲しい性質です。

スニの家族は、チョルスが「いい子」であることが分かるまで、
心通わせていたので、一生懸命守ってくれました。

理解しない=知らない=恐怖=排除 
世話をする=よく知る=理解する=共生
という対立軸がはっきりしていて、分かり易い作りです。

初恋や信頼を表す映像がとてもきれい。

セリフなしで感情を表現したソン・ジュンギもさすが。
「太陽の末裔」で、ソン・ヘギョを見つめるまなざしは、
このオオカミ少年で磨かれたのかもしれません。

さすが、観客700万人の大ヒット作。

ラスト、オオカミ少年が47年前の姿のまま現れた時、
これは、お祖母さんスニの幻想なのかと思いました。
でもこれは現実で、オオカミ少年は年をとらないらしい。

無事に生き延びていたのはよかったのですが、
だったら、お祖母さんスニと一緒に暮らして、本当の
ハッピーエンドになったらよかったのに。

チョルスを逃がして、
その後、普通に結婚して、普通に家庭をもって、
スニは普通に幸せに暮らしてきたから、

結局、異質の存在であるオオカミ少年は、
普通に幸せには暮らせないというのが、悲しくて。

ドラマ『トッケビ』でも、不滅を生きることの孤独が描かれていましたが、
このオオカミ少年も、不老不死だとしたら、なんと孤独なのでしょう。

大泣きする映画は、エンドロールで涙を乾かしますが、
これはエンドロールでさらに泣けてしまいました。

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コメント

    • NICO
    • 2017年 4月 19日

    こんにちは(´∀`)

    私はこの映画、一昨年にCSのテレビ放送があったので観たのですが、
    実はそれまで、ソン・ジュンギさんが苦手だったのです。
    そしてこの映画も、ポスターだけを見たら、何だか暗くてじめじめした作品のイメージだったのですが、
    自分の先入観を捨て、一応観てみようと思って観たら…。
    ソン・ジュンギさんのイメージが変わりました(´艸`)
    第一はセリフがなかったのがよかったのですが…言葉がなくても心が通うというのが。
    希望を言えば最後までセリフなしがよかった気もします。
    ソン・ジュンギさんにはそれだけの演技力はあると思いますし。
    月日が経ってすらすら絵本を読んじゃうチョルスに、若干引き気味になり、
    涙が引っ込んでしまった私です( ̄∀ ̄)

    パク・ボヨンさんも好きなんですけど、
    何と言っても、この映画を観た時にはほぼ知らなかった大家の息子役のユ・ヨンソクさんですね。
    ご本人はいたってのんびりした方なのに、この映画での役があまりにも強烈で…
    観た当時は、俳優さんの名前すら知ろうとしなかったくらい、大キライな役でした(*≧∀≦*)
    それが後に、あの役がユ・ヨンソクさんと知って、え~!とものすごく驚きました~
    再び観たときには、ホンマや~ヨンソクさんや~となりました(´艸`)

    お母さん役のチャン・ヨンナムさんや妹のキム・ヒャンギちゃんもいいですよね~
    お母さんのチョルスへのためらいのない接し方が好きでした(´∀`)

    それで…オオカミ少年につけられた名前ですが、
    『キム・チョルス』はやはり笑いどころでしょうか?(´艸`)

      • sokjon2016
      • 2017年 4月 20日

      NICOさま
      コメントありがとうございます!
      拝見して、「あのユ・ヨンソクさん」?と思って検索してみたら、
      私もえ~~!!!とびっくりでした。出演作は見ていないものばかりでしたが、
      唯一、「九家の書」は見たことあり、そのテソ役だったとは!びっくりです。
      演技がうまいということですよね。

      ソン・ジュンギは、作品を見る前は私も対して格好いいとも思わず、興味ありませんでしたが、
      「太陽の末裔」をみて、ほれぼれしてしまいました。
      これも演技がうまいということでしょうね。

      この物語で、ハッピーエンドはあり得ないのでしょうけれど、
      自分の現実生活がしんどいとか、疲れているときには、
      文句なくハッピーエンドのものが見たくなります。
      チョルスを、幸せにしてほしかったです。

      そうそう、キム・チョルスは「やまだたろう」みたいな感じでしょうかね。
      でも日本のリアル「やまだたろう」より、韓国のリアル「キム・チョルス」さんのほうが人数多いと思います、確認していませんが。

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