映画『凍える牙』日本の小説を韓国の映画にする場合
横浜に引っ越してきて、電車に乗る時間が増えたので、小説を読むようになりました。「ゴールデンスランバー」や「凍える牙」など、韓国で映画化されたものの原作は、さすがに面白いです。
韓国文化院の映画上映会
韓国文化院では、定期的に映画上映会がありますが、
2018年7月は「日本の小説が原作の映画」となっています。
ラインナップは、
東野圭吾『容疑者X』
宮部みゆき『火車』
乃南アサ『凍える牙』
お、読んでいないのは『凍える牙』だけ。
しかも登録中の動画サイトで『凍える牙』の映画もみることができます。
7月末まで待てず、さっそく、小説を読んで映画も見てみました。
『凍える牙』キャストとあらすじ
2012年公開
監督:ユ・ハ
(これまでの作品が「マルチュク青春通り」や「卑劣な街」など、バイオレンス系なので、今回の作品は得意分野ではないかもしれません)
ソン・ガンホ:サンギル
(妻に離婚され、女性が苦手だけど有能な刑事)
イ・ナヨン:ウニョン
(バツイチでオートバイ乗りの刑事)
あらすじ
人体が発火して炎上する事件が発生し、遺体には獣にかまれた傷が残っていた。殺人課のベテラン刑事サンギルと新米女性刑事のウニョンが捜査にあたるが・・・
韓国語でのタイトルは
하울링 ハウリング=遠吠え
です。
ちなみに、「凍える牙」を韓国語にすると、
얼어붙은 송곳니
얼어붙다=凍り付く
송곳니=犬歯
映画を先に見るべき
文庫で500ページを超えるボリュームの小説を、
2時間の映画にまとめるのは、そもそも無理があります。
小説では被害者の接点がなかなかつながらなかったのが、
映画では、まとまりよくなっていたり、
小説では女性刑事のオオカミ犬への思い入れが強く描かれていたのが、
映画では、ごっそり削られていたり、
コンパクトにせざるを得ないけれど、先に小説を読んでしまっていると、
当然ながら、物足りなく感じてしまいます。
今までの人生で、原作読んでから映画みて「映画がよかった」
と思ったためしはないのに、うっかりしてしまいました。
文化の違い
日本版チラシ
そんなことより、興味深かったのは、
「ああ、韓国だなあ」と感じた描写です。
原作小説では、女性刑事と男性刑事がコンビを組んでも、
お互いプライベートは無関心を装いますが、
さすが、韓国社会ではそういうわけにいきません。
ソン・ガンホ演じる男性刑事は、
「結婚しているのか?」「バツイチか」
とズケズケ聞いていました。
ちなみに「バツイチ」は、
돌아온 싱글(戻ってきたシングル)= 돌싱(トルシン)
です。
そして、警察社会というバックグラウンド。
日本でも韓国でも、男社会の典型であるのはまったく同じ。
目についた違いは、警察内での対立です。
韓国では、上司に手柄を横取りされるから、捜査でつかんだ情報を報告しないとか、捜査からはずされた女性刑事が単独で捜査を続けるとか。
原作小説では、
家族と仕事を両立させられない辛さはあっても、
なんだかんだ警察組織そのものへの不満というのは強くない。
映画で描かれている警察が韓国や日本の警察のリアルではないでしょうけれど、
これら作品を見ての印象は、
韓国では、「警察の手柄」より「個人の手柄」と考え、
「個」が強く主張されます。
それに比べると、日本の小説では、
「警察組織あっての個人」のように見えます。
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ソン・ガンホとイ・ナヨン
そういえば、ソン・ガンホさんは、
「殺人の追憶」や、「義兄弟」なども刑事役でした。
刑事役が多いというより、韓国の映画やドラマに刑事モノが多いということでしょう。
名優ソン・ガンホの、これまでの作品に比べると、
「凍える牙」のソン・ガンホさんは、ちょっと印象薄めです。
イ・ナヨンさんが出ている作品で私が見たことのあるのは、唯一、
「私たちの幸せな時間」
です。
「私たちの幸せな時間」では前半、めちゃめちゃなわがまま役でした。
「凍える牙」では「耐える女性」なので、同一人物とは思えません。
何より、イ・ナヨンさんの美しさが印象に残る映画でした。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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コメント
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2021年 3月 10日
こんにちは(´∀`)
東野圭吾さんも宮部みゆきさんも乃南アサさんも大好きな作家さんばかりで、この3作の原作は全て読んでいます。
そして、どの映画も録画を持っています。が、観たのは『火車』だけですかね~( ̄∀ ̄)
『容疑者X』は原作が好きなのであまり観る気が起こらず、
この『凍える牙』は反対に、実は原作があまり好きではなく、録画はしたものの未だに観る気になれないんですよね。
小説を2時間なりの映画にまとめるのはどだいムリな話なので、今では別作品と捉えるようにはなりました。
『火車』はある程度いい感じだったのですが、原作と映画のラストが全然違っていて、それにビックリ。
お友達とあれこれと論議したことがあります。
映画の方は、あれはあれでありかもねとまとまりました(´艸`)
大阪の方の韓国文化院の秋のラインナップの中に、ファン・ジョンミンさん主演の映画があるんですよね。
もうDVDで観てはいるんですけど、日程的に行けないので、大画面で観たかったな~と残念です(*v.v)。
ファン・ジョンミンさんと言えば、大好きなドラマ『アクシデント・カップル』が6月15日にGyaO!で無料配信になります。
全16話なんですけど、なんだか9話くらい?一気に配信されるのかしら?という感じですが、
まだご覧になられてないようでしたら、お忙しいと思いますが是非!ご覧になってみてくださいませ。
多くの出演映画とは全然違う、キュートなジョンミンさんが見られます(´艸`)
NICOさま
お久しぶりです、コメントありがとうございます!
小説原作の映画は別作品。まさにそうですね。
映画化する人と、私と、原作での感動ポイントが違うのですから、
満足できるわけはないと思うものの、やはりがっかりしてしまいます。
大阪ではマンガ原作映画がテーマのようですね。
見ていない作品が結構あって、いいな~と思っていたところです。
最近、DTVとネットフリックスの無料期間が終わりお金を払い始めたとたんに
一番忙しい時期に突入して、もう見る時間がないけど、見たいものが多くて。
アクシデント・カップルも見ていないし、先週配信が始まったタンタラも見たいし、
(チソン、ラブなんです)
早く引退してドラマ映画三昧したいです(笑)。