ニュアンスという厄介者「賊反荷杖=盗人猛々しい」と訳してこじれる日韓関係
新聞やニュースを見るのも憂鬱な最近の日韓関係です。それでも韓国では「日本」を批判しているのではなく「安倍政権」を批判しているのだ、という声が聞こえてきたり、民間レベルでは交流が続いているという知らせにほっとしたり。そういう中で、四字熟語の翻訳をめぐる話題です。
8月7日の新聞記事
毎日新聞に興味深い記事がありました(2019年8月7日)。
日本の経済報復措置に対する、文在寅大統領の発言
「加害者の日本が賊反荷杖のように、むしろ大口をたたくような状況を決して座視しない」
この「賊反荷杖」を「盗人猛々しい」と翻訳したがために、
日本の佐藤外相が「品のない言葉まで使って、無礼だ」
と反発し、日韓で不信感の応酬が続いたといいます。
日本にしてみると
韓国は日本を「盗人呼ばわりした」と腹を立てたのでしょう。
四字熟語・賊反荷杖
賊反荷杖 족반하장
確かに辞書を引くと「盗人猛々しい」という意味が出ています。
意味は確かにそうですが、この言葉を使う頻度、ニュアンスが、
日韓でズレているようです。
記事では、ベテラン通訳者が、
相手を強く批判する表現であるのは間違いないが、
ニュアンスとしては「悪いのはあなたでしょ」という程度。
しかも四字熟語は教養の高い人が使うので下品ではない。
と言っています。
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私は昔、韓国のバラエティ番組のテロップで
족반하장(賊反荷杖)
と出たのが、この言葉との最初の出会いでした。
辞書を引いて意味を調べましたが、
バラエティ番組の「お笑いネタ」として紹介されていたので、
「盗人猛々しい」という「重さ」は感じませんでした。
「開き直り」「逆切れ」「居直り」
という訳語が使われている例もあります。
通訳や翻訳で、
間違いではない、でも、ちょっと違う
という言葉の使い方が、本当に頭の痛いところです。
ましてや、今の日韓関係のように、
相手の非をあら捜しするような場面での通訳で、
こんな微妙なニュアンスの違いが問題になるとは、
本当に、通訳者さんたちの苦労を想像するだけで胃が痛くなします。
よろしかったらお願いします!
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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コメント
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賊反荷杖の意味を調べる中で先生のブログにたどり着きました。
ムンジェイン大統領の使った言葉の翻訳ということで当時注目を集めましたが、当時韓国のある大学の先生が、문재인의 뭐가 문제인가
と言った言葉を思い出しました。
雨森芳洲の時代の通訳、現代の通訳なかなか難しいですね〜
山ちゃんさん
コメントありがとうざいます!
あの「騒動」からもう2年が経ったんですね~。
뭐가 문제인가・・・!なるほど、うまいこといいますね。
雨森芳洲の通訳苦労話も聞いてみたいです。
仕事が落ち着いてきたので、ブログの更新していきますので、
またぜひお立ち寄りください。
뜻은 같은데 양국의 쓰임새가 다른 예로는 ‘화룡점정’도 있죠.
일본에선 이 사자성어를 부정적인 뉘앙스로 쓰지만 한국은 정반대죠.
설명하려면 너무 길어지니까 아래 글을 참조하시길…
https://blog.naver.com/iveen/221425542244
그리고 또 하나 ‘동병상련’이라는 사자성어, 일본은 사자성어가 아니라 同病相哀れむ라고 풀어서 표현하지만, 아무튼 이 두 표현도 한국과 일본은 사뭇 다른 뉘앙스로 쓰는 걸로 압니다.
한국은 꼭 ‘병(病)’이 아니라도 같은 처지에 놓인 사람들끼리 서로를 위로하고 격려하는 표현으로서 쓰임새가 아주 많은 표현인 데 반해 일본은 그렇지 않다죠? 그러니 ‘동병상련’이라는 말을 함부로 일본인한테 했다가는 오해를 살 가능성이 높다고 알고 있습니다.
カワトシ様
いつも読んでくださりありがとうございます。
同じことばだけど、意味や使い方が異なるもの、
八方美人に始まり、多いですよね。
それが政治の場で使われるとなると、
曲解される危険もあるのが、怖いです。
そうですね、画竜点睛、同病相憐・・・。
日本の若者たちは、四字熟語自体、使わないので、
日韓での使い方の違いどころか、そもそもどういう意味?
というところから始まりますね。
ましてや「両国でのニュアンスの違い」といっても
ピンとこない若者が多いでしょうね。
私自身、四字熟語や諺に興味を持つようになったのは、
韓国語を学んでからのことです。
日本は猛暑、酷暑が続いています。
韓国も暑そうですね。お気をつけてお過ごしください。