舞台『鱈々(だらだら)』韓国人脚本家の作品に藤原達也と山本裕典
時間のたつのがあまりに早くて、気が付いたらもう12月。年が明けるのだけは、もうちょっと待ってほしいです。
チケットとったのが数か月前だったので、あまりの慌ただしさに、あやうく行きそびれるところでした。
キャスト
作 李康白(イ・ガンペク)
演出 栗山民也
出演 藤原竜也
山本裕典
中村ゆり
木場勝己
東京公演
2016年10月7日から30日
2016年11月29日の静岡公演に行ってきました。
公式Hpより
ストーリー
二人の男は長い間、倉庫で働き、倉庫の中で共に暮らしてきた。
ジャーン(藤原竜也)とキーム(山本裕典)。
彼らの仕事は箱を指示通りに管理するだけの単調な毎日。
箱の中身は知らない。
ジャーンは、与えられた仕事を完全にこなすことが、自分が価値ある存在だと確認できる唯一の方法と信じ、ひたすら仕事に励む。
一方キームは単調な生活に嫌気がさし、適当に働き、夜は外で酒を飲み女と遊ぶ。
ジャーンはキームを家族のように想って世話を焼くがキームはそれが気に入らない。
そんなある日、キームの遊び相手、ミス・ダーリン(中村ゆり)、さらにトラック運転手である彼女の父(木場勝己)が倉庫に現れ、二人の日常に変化が訪れる。
写真はパンフレットから。
原作の李康白(イ・ガンペク)
韓国では超有名な劇作家さんだそうです。
作品が学校の教科書にも載っているので、日本で言えば、
「木下順二? あぁ、夕鶴なら教科書で読んだ」
みたいな感じでしょうか。
そして寓話を得意とするそうです。
たとえば、
「仲良かった兄弟が、遺産の土地に測量士が一本の線を引いたことから、いがみ合うようになった」
という物語は、南北で対立する民族を表している、
という寓話(たとえ話)。
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「鱈々」の感想
ジャーンとキームは、トラックから箱をおろし、別の箱をトラックに積む
という仕事をしています。
ジャーンは、番号順に間違いなく荷卸しするのが自分の「仕事」であり「誇り」なわけですが、キームは、
「間違えたところで誰も困らない」といい、わざと間違った箱をトラックに積みます。
「間違った箱が届いて困っている」
という連絡がこなければ、これまで
「番号順に間違いなく」仕事をしてきたジャーンが否定されてしまいます。
ミス・ダーリンは、
「ここにある箱は、有益な機械の部品かもしれないし、
破壊兵器の部品かもしれない」、と言いだします。
ジャーンがお客様のためと思って、誇りをもって運んでいた箱が、
人類を不幸にする仕事である可能性があるのです。
写真はパンフレットから。
会社の歯車に成り下がってしまった今の社会の寓話?
箱を間違えても、間違ったことにすら気が付かないように、
働き手が変わっても、誰も気が付かないかもしれない。
生産者と消費者が遠く離れてしまっていると、
製品が何に使われるのか、考えることもない。
とても暗いお話でした。
何のために働いているのだろう、
社会のなかで何ができるだろう、
など、考えていた頃に見たら、衝撃的だったかもしれません。
今の私には、特に響いてきませんでしたが、
見る人、見るタイミングによって、
忘れがたい作品にもなるだろうと思いました。
藤原達也と山本裕典
暗い話だし、日本では知られていない脚本家だし、
客が押し掛けるようなものではないだろうと思っていましたが、
会場に入ってびっくり、ほぼ満席でした。
あらすじより、脚本より、
出演者の魅力なのでしょうか。
確かに、若い男性二人とも、舞台映えもするし、
セリフにも説得力あるし、
素敵でした。
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