【私の仕事】通訳、といってもいろいろあります。
全体の仕事の割合からするとわずかですが、通訳の仕事もたまにあります。
地方都市で通訳といえば
一般的に「通訳」ときいてイメージするのは、
吹き替えや字幕を作る時間がないときの、テレビで聞く同時通訳や、
舞台上や政治家の会談で、主人公の背後でメモを取っている通訳や、
国際会議で、ブースに入ってイヤホンつけている通訳、
などではないでしょうか。
そういう通訳の仕事はやはり東京に集中しています。
フリーの通訳はたいがい通訳派遣会社に登録し、そこから仕事の依頼をうけます。
大きな通訳会社は東京です。
私が今すんでいる静岡では、そのような仕事はありません。
ごくまれですが、登録している翻訳会社から通訳の依頼がはいることもあります。
地方都市で依頼される通訳といえば、
行政関係・司法関係が、ほとんどです。
行政関係は、市の国際交流協会を通じて依頼を受けることが多く、
司法関係は、裁判所・警察・弁護士会にそれぞれ登録をします。
通訳や翻訳の仕事には、守秘義務があるので、
どこからの依頼で、どんな仕事を、どこで行ったのか、
外部で話をすることはできないので、以下、
だいたいの、ぼかした話になってしまいますがご容赦ください。
行政関係の通訳
これまで経験したなかで、もっとも衝撃的だったのは、
精神病院の閉鎖病棟での通訳でした。
重たい鉄の扉をいくつか通っていったのは覚えていますが、
衝撃が大きすぎて、詳細は忘れました。
それから、マグロ漁船の冷凍室での通訳というのもありました。
破産したか何かで、冷凍マグロが差押になったとか。
「差し押さえます」という一方的な通告を通訳しただけで、
会話はありませんでした。
とにかく、寒かったです。
韓国から視察団がきて、歓迎の立食パーティーの通訳、
というのもあります。
マイクもって挨拶する人の通訳はそれ専門の通訳がついていますが、
パーティの時には人数を確保しなければなりません。
「通訳を紹介してくれ」
と動員の依頼をされることもあります。
一般的な通訳
翻訳会社から頼まれた通訳もいくつかあります。
いろいろな意味で、記憶に深く刻まれた経験をご紹介しましょう。
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通訳が必要ない分野?
東京で人材が手配できなかったのか、新幹線に乗って、
展示会の通訳というのに行った事があります。
出店しているたくさんのブースのうちの一つが韓国の会社で、
見に来たお客さんに商品説明をする際の通訳でした。
洗浄剤の展示会でした。
お客さんからは、性能や成分についての質問が多く、
特に成分は、聞いたこともない、辞書にも出ていない専門的な単語がならびます。
あるお客さんが、
「これ、たぶん通訳さんにはわからないだろう」と言って、
メモ用紙に化学記号を書いて、意志疎通していました。
化学記号に対して敗北感を味わいました。
怒りに震えた通訳
工場の視察というのもありました。
視察は普通に終わったのですが、食事接待にも同席した時に、
ひどい目に遭ったことがあります。
韓国からのお客さん2名と、日本側1名、すべて男性で、
食事中にその日本側の男性が、
「何度か韓国にいったことがありましてね」と切り出し、
それが、なんと、買春ツアーの話だったのです。
どういうお店に行って、いくら払って・・・
という話、聞くだけでも嫌なのに、通訳するのか!?
怒りだか情けなさだか、ぷるぷる震えていたら、
韓国側のお客さんが察してくれて、
「こんな話、通訳しなくていいよ」と言ってくれました。
そして、適当に話題を変えてくれて、助かりました。
韓国側がまともな方だったからよかったものの、
買春話で盛り上ったりでもしたら、私はどうしていただろうか、
穏やかに賢く、話題を変えてほしいと伝えられるか、自信がありません。
緊急事態に対応
これも視察の通訳、のはずでした。
工場をまわって説明を通訳していたところ、
韓国からのお客さんの一人が、具合が悪くなってしまいました。
急きょ、日本側の人がその人を病院に連れて行くことになったのですが、
やはり通訳が必要だということで、私も同行しました。
もともと持病を抱えていたとのことで、大事に至らず安心しました。
が、その工場と製品について、勉強して準備しておいたのに、
ほとんどが無駄になり、その日の仕事は医療通訳でした。
人生、何が起きるかわかりませんね。
長くなりましたので、司法通訳については次回に~。
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2016年 12月 28日
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