映画『サニー 永遠の仲間たち』韓国語の方言の面白さ
テレビで放送された時に『サニー』を録画したら日本語吹き替えで、オリジナル音声+字幕にできませんでした。
あらすじとキャスト
カン・ソラが注目されるきっかけになった映画『サニー』です。
ユ・ホジョン: 現在のナミ
シム・ウンギョン:高校生のナミ
ジン・ヒギョン: 現在のチュナ
カン・ソラ: 高校生のチュナ
コ・スヒ: 現在のチャンミ
キム・ミニョン: 高校生のチャンミ
パク・チンジュ: 高校生のジニ
ミン・ヒョリン: 高校生のスジ
ナム・ボラ: 高校生のクムオク
キム・ボミ: 高校生のポッキ
夫や娘にも恵まれ、何不自由ない生活を送っていた42歳のナミは、ある日、母の入院先で高校時代の友人チュナと再会する。
最後にみんなに会いたいというチュナのため、ナミは当時の仲間を探し出す。
地方都市からの転校生
担任の先生が、転校生ナミを紹介する場面です。
字幕:ソウルは初めてだから、いろいろ教えてあげて。
セリフ:절라도 별교에서 왔고 서울은 처음이니까
다들 잘해주고.
全羅道筏橋から来て、ソウルは初めてだから
みんなやさしくして。
高校生ナミの自己紹介
字幕:新筏橋高校からこっちさ越した・・・
セリフ:새벌교고등학교에서 전학을 와분…온
新筏橋高校から転校してきた…来た…
このあと、クラスメイトがナミの方言をからかうので、方言部分はそれとわかる訳にしなければなりません。
方言の翻訳は、解決策のない永遠の課題ですが、「できません」というわけにもいかず、日本の方言に置き換えるしかないですよね…。
スポンサーリンク
ナミの家族の夕飯風景
初登校の日の夕飯、ちらっとうつるテレビに全斗煥(전두환)が映っています。
1980年から1988年までの大統領で、 慶尚道出身。
光州事件を主導した元軍人。
ナミのお母さん。
字幕:だまってねえで、なにかしゃべれ。
セリフ:어째 그래 말이 없을까 우리 딸내미는?
ナミのお兄さん。
字幕:お前の靴を買うのに、どれだけ労働が必要だ?
セリフ:너 지금 저기 공단에서 너 만한 애들이 신발하나 살라면 잔업을 얼마나 하는지 알기나 해?
今、工場公団でお前くらいの子供たちが靴ひとつ買うためにどれだけ残業しているのか知ってるか?
お兄ちゃんも方言の抑揚ですが、それより労働運動家きどりのステレオタイプな演説を披露しています。
テレビ画面の全斗煥の時代、独裁政権に反対する学生運動や労働運動が活発でした。
ナミ家族の出身地「筏橋」は、光州とおなじ全羅南道ですから、反政府運動にシンパシーを感じていたのでしょう。
ナミのおばあちゃん。方言暴言王。
字幕:図体だけでかいクソガキが、くだらねえこと言うでねえ。
セリフ:염병 이너무 주둥빡 서방알면 돌가상에 복숭을 훌트겨다가 벌집을 쑤셔갔고・・・
この暴言部分は、ネットでいろいろ解説されています。ネイティブも、「聞いても見てもわからない」レベルの方言なのでしょうね。
詳しい説明があるサイト(韓国語です)によると、
돌가상は、子供の一歳の誕生日の돌(トル)のことのようです。毛のある桃(복숭아)は宴のメニューには禁止されているらしく、そんなことを嫁がしたら、蜂の巣をつつく(벌집을 쑤시다)ような・・・
という意味のようですが、解説してもらっても意味不明ですね(笑)。
おばあちゃんが憑依したナミ。
不良対決のとき、おばあちゃんの方言暴言のおかげで、ナミはサニーの仲間になったんですよね。
字幕:図体だけでかいクソガキが、くだらねえこと言うでねえ。
セリフ:이놈의 주둥빡 좀 봐! 신랑알면 정나미 떨어진다고 돌가상에 영글지도 않은 시파란 복숭아 가질대를 확 뒤틀어가지고 벌집에 콱 쑤셔가지고
おばあちゃんのセリフにマイナーチェンジが加えられています。
翻訳の限界
方言が大きな役割を果たしている作品なので、字幕作成が本当に大変だと思います。
この映画の方言は、ネイティブも聞き取れないレベルですから、その聞き取れなさを字幕で表現するというのも無理でしょうし(〇×☆△~みたいに?)、まさに「翻訳の限界」を感じます。
それでも、外国人が見ても楽しめるように字幕や吹き替えを作った方々の苦労に敬意!です。
よろしかったらお願いします!
韓国語ランキング
自己紹介はこちら
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
スポンサーリンク
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
こんにちは(´∀`)
『サニー』とか『ミス・ギャングスター』とか『ダンシング・クイーン』は、
GyaO!で配信されると必ず一回は観てしまう作品ですね~
方言だったり、言葉遊び的なセリフだったりの字幕を作成される方は、
本当に、いつも大変だろうな~と思います。
作成する側の語彙の多さも必要でしょうし、ウィットに富んだセンスも必要でしょうし…。
シム・ウンギョンさんは確か、『怪しい彼女』でも方言のセリフがあったと思いますが
ウンギョンさん、演技も歌も方言も上手ですよね~(´艸`)
映画『チング』を初めて観た時、韓国語の個人レッスンを受け始めた頃だったのですが、
苦手ではないけど暴力的なシーンが多いこの作品が、韓国で大人気だったというその良さがよくわからず、
先生に聞くと、釜山の方言がほとんどだったのも人気の要因の一つだったと言われ、なるほど~と思いました。
日本語吹き替えでは、関西弁バージョンがあると聞きましたが、それは一度観てみたいと思いました~(´艸`)
最近は、ちゃんとした意味はわからなくても、方言の雰囲気はわかるようになったかな?と思うので、
先程の『ダンシング・クイーン』でも、ファン・ジョンミンさんが地方出身者なので、
『ソウル特別市』の『特別市』という言葉を何度も練習するシーンが笑えました~
女性は、大邱訛りが方言の中で一番かわいいのだと、大邱出身者に言われたことがあります~
確かにかわいいですけどね(´艸`)
NICOさま
コメントありがとうございます!
お蔭さまで『サニー』で涙を流しました。
『ミス・ギャングスター』も『ダンシング・クイーン』も
見ていませんが、お勧め作なんですね?
機会があったら見てみます。
韓国語は、字幕と実際のセリフを比較することができて、
字幕で伝わりきらないものがあるなーと実感する、
ということは、その他外国語の映画などでも
同じことがあるわけですよね。
大邱方言の女性ですか・・・。
学生時代に男の子たちが「女の子がしゃべる大阪弁に惚れる」だの、
「いや、ばかにされているように感じる」だの、
あーだーこーだ言っていたのを思い出しました。
いずれにしても、「方言」は話題がつきませんね。
いつもありがとうございます!