映画『ハーモニー』虐げられる女性たちを明るく描く韓国的な映画

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GYAO!で、映画『ハーモニー』が配信されていたので、見てみました。日本で公開されたときに、見に行こうとおもって見逃したものです。

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キャスト

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監督:  カン・テギュ
ジョンヘ:キム・ユンジン
ムノク: ナ・ニム
ユミ:  カン・イェウォン

ナ・ニムさんといえば『怪しい彼女』のおばあちゃん役ですが、今回は死刑囚です。
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あらすじと感想

刑務所の中が自由すぎる!とか、リアリティが感じられない設定に、最初は興ざめしてしまったのですが、終わってみれば号泣していました。
ある意味、ものすごく「韓国的」といいますか、
めちゃくちゃな設定なのに、親子や自己犠牲などの「定番」で泣かせる
というものです。力技で泣かされた、という感じ。

予告編

清州女子刑務所

ジョンヘは、暴力をふるう夫からお腹の中の赤ちゃんを守ろうとして、夫を殺してしまいました。服役中に出産し、刑務所内で子育てをしています。

同じ部屋の仲間たちは、ジョンヘの息子・ミヌをかわいがってくれていて、1歳の誕生日にもプレゼントやケーキで一緒に祝ってくれます。
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わたし
パーティーは、仲良しの刑務官も一緒でした。受刑者たちの部屋がラブリーに飾られていたり、みんな一緒に部屋でテレビを見ていたり、ありえない自由さです。これなら「入所」しても暮らせそう?と思えるほどに。

合唱団設立

ジョンヘは歌が下手で、子守唄を歌うとミヌが泣き出すほど。
ある日、慰問にきた合唱団の歌を聞いて、「私たちも合唱団を作りたい」と所長に訴えて、合唱団ができます。

おそろしくかわいいミヌ。
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指導者には、みんなから「先生」「おかあさん」と慕われるムノク。
音大の先生だったのですが、夫と教え子が浮気をして、二人を車でひき殺してしまいました。娘がいるのですが、「殺人者の娘」と後ろ指をさされた恨みから、母親を恨んでいます。

合唱の練習が始まっても、みんなばらばらで、事あるたびにつかみ合いのケンカになります。
そこで、声を合わせるためには、お互い心を開かなくてはならないということで、自分のことを話す時間が設けられました。

レスラーだった女性は、ピンハネする管理者に技をかけたら死んでしまったとか、校門を盗んで売ろうとしたとか、薬物使用とか、みな、さまざまな罪を犯していました。

新入りのユミは、性的暴力をふるう母親の再婚相手を殺してしまいました。何度も自殺を試み、心を閉ざしていました。母親の面会も断り続けています。
合唱団への誘いも断り続けていましたが、ついにムノクと音楽を通じて心が通い、ユミも合唱団に加わります。

わたし
女性たちの罪は、身勝手な男から身を守るためのものが多いです。むしろ被害者じゃないか、正当防衛じゃないか、と思うのですが…。もしかしたら、刑務所内の不自然なほどの自由さは、そんなところに理由があったのかもしれません。

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ミヌとの別れ

合唱団が成功したら、ジョンヘはミヌと特別外泊させてもらえる約束をしていました。刑務所しかしらないミヌに外の世界を見せてあげたかったのです。

刑務所内での発表会は、大成功。
外泊できる!と喜んだのもつかの間、その外泊で、ミヌを養子先に引き渡すことになりました。
刑務所では18カ月しか子供を育てられないので、いずれは手放さなければならないのです。

覚悟していたものの、つらくて泣き続けるジョンヘ。
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それでも、合唱団の練習は続きます。

わたし
魂が抜けたようになってしまったジョンヘを、周囲は腫れもの扱いしないで、手荒に気遣ってくれます。とても韓国的です。

クリスマス公演

そうこうするうち、刑務所女性合唱団の話は、新聞にも取り上げられ有名に。そして刑務所外での公演依頼までくるほどになります。

初の外部公演はクリスマスでした。
受刑者と中のよい刑務官は、ムノクの娘やユミの母親など、受刑者が合いたがっている人たちに招待状を届けてくれました。

公演当日、お客さんが不注意で指輪を紛失したのに、受刑者たちに嫌疑がかかるというトラブルもありましたが、無事に成功。
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ムノクやユミも、涙の再会、抱擁をします。そして、
特別サプライズの、子供たちが舞台に上がり合唱団に感謝を伝えるイベントで、ジョンヘの手を握ったのはなんと、養子へいったミノ。

わたし
養子先の両親がとてもいい人で、ジョンヘにミノを会わせてくれたのでした。さらに、ミノの成長を記録したアルバムまで。登場人物がみんないい人ばかりで、これも泣ける要因のひとつでした。

悲しいラスト

公演の前後、凶悪犯罪を犯した犯人が捕まり、久しぶりに死刑制度が必要だとの声が高まり、死刑が執行される気運が高まっているというニュースが流れます。

そしてムノクのもとに、娘と息子が面会にきて、一緒に食事をするなど・・・。

いつも穏やかで、もめごとがあると仲裁に入り、合唱団も上手にまとめて、短期間で成果もだしたムノクですが、
ついに、ムノクに死刑執行の呼び出しがきます。

かつて、ジョンヘの子守唄で泣き出すミノに、ムノクが歌ってくれた子守唄を、ムノクを慕う受刑者たちが歌い、ムノクが出て行って、終わり。

わたし
捕まったのだって、男の浮気が原因だったし、服役中も模範中の模範だったのに、なぜ死刑にならなければならないのか、疑問だらけです。
死刑制度は理不尽だ、という作り手側の想いがこもっているのかもしれません。

感想まとめ

親子の情や、親子の別れというのは、もうお決まりのパターンですが、
それでも、俳優さんの演技で泣かされます。

それだけでなく、この映画では、
受刑者たちは罪を犯しているのですが、男性の身勝手の犠牲になって声もあげられない状態だった、という背景が、刑務所という非日常ではあるけれど、共感できるポイントになっていると思います。

清州女子刑務所合唱団は実在し、その名前も「ハーモニー合唱団」だそうです。
どこまでが実話なのか、どこからが創作なのか、気になります。

そういえば、ユミが歌の実力をみんなにみせるシーンで歌ったのが「ダニーボーイ」。


アイルランド民謡はしみじみ泣けるものが多いです。

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