映画『グッバイシングル』想定外妊娠をめぐる男と女、そして家族の形

韓国で2016年6月に公開された『グッバイシングル』が、2018年4月に日本上陸します。コメディ映画ではありますが、韓国のコメディは後半で泣かせる展開というのが多く、『グッバイシングル』もちょっとホロリとさせられます。

キャスト・あらすじ

監督：キム・テゴン
コ・ジュヨン：キム・ヘス
わがままな人気トップ女優。というと「星から来たあなた」のチョン・ソンイ（チョン・ジヒョン）ですが、まさにそんな感じ。役名のジュヨン（주연）は韓国語の「主演（주연）」と同じ音です。

ピョング：マ・ドンソク
ジュヨンのスタイリスト兼マネージャー兼おさななじみ。予告編を見ると、ジュヨンの子供の父親はピョングか？と一瞬思いますが、ピョングには妻と3人の子供がいます。

キム・ダンジ：キム・ヒョンス
絵が上手な中学3年生。「星から来たあなた」ではチョン・ソンイの子供時代を演じていたので、我がまま人気女優に縁があるんですね(笑)。

あらすじ
ジュヨンは、年下の恋人が浮気したショックで、「何があっても自分を裏切らない絶対的な味方が欲しい」という思いから、子どもを作ることにした。
養子縁組センターで「適正なし」と断られ、病院に行ったら39歳の身で閉経を告げられ。そんな矢先に、望まぬ妊娠をしたキム・ダンジと出会い…。

予告編
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ざっくり感想

最近、特に映画ではいわゆる「韓流スター」のイケメン俳優が主人公というものが多いなか、キム・ヘス主演で日本にまで上陸するという貴重な存在です。

コメディ映画とはいえ、望まぬ妊娠をした場合、その結果を女だけが背負うことになる現実を描いてもいて、なかなか見ごたえがあります。

わがまま女優をジュヨン(キム・ヘス）が主人公ではありますが、
中学3年のダンジ（キム・ヒョンス）も主人公級の存在です。

ダンジは絵の全国大会への出場権を獲得したのに、突然の「妊娠」という事態で、出場を断念せざるをえない。しかしダンジの「相手」は中学生のゴルフ選手で、国家代表として海外遠征に。

生まれてくる子どもを育ててくれるというジュヨンも、ダンジを「子を生む道具」としか見ていないのではないか。
ダンジの姉も、ダンジを利用するジュヨンを「脅迫する道具」としか見てない。
絵の全国大会でも「ほかの子供が動揺するから参加不可」と言われ…。

どこに行っても、利用されるか迷惑がられるか。
ダンジの、体を心配してくれたり、不安をなだめてくれる大人はいないのか。
コメディ映画だけれど、望まぬ妊娠をした女性が、どれだけ命がけの孤独に追いやられるのか、現実がつらいです。

色々な意味で孤独なダンビとジュヨンを中心に物語が進み、映画の最後は、「これも家族の形」というような、にぎやかな場面で終わります。
お節介な隣人が多い韓国社会は、まだ長屋的な地域共同体が可能なんだな、とちょっとうらやましいです。

知っていると楽しいカメオ

主人公が俳優とか歌手とかだと、もれなくついてくる記者会見の司会者。
お顔より、声でわかりますね。パク・ギョンリムさん。

ジュヨンの「理想の男性」、ニュースキャスター役、イ・ソンミン。
ニュース番組内のインタビューコーナーにジュヨンが出演。

どうみても、ニュースルームの文化招待席。イ・ソンミンはソン・ソッキ役？

文化招待席ゲストがキム・テリのときのソン・ソッキさん。

カメオではありませんが、こんな場面も。ジュヨンが出演するドラマが
신사임당（サイムダン、色の日記）。

ドラマ「サイムダン」の放送は2017年1月からでしたが、100％事前製作だったので、2015年8月から2016年6月まで撮影していたそうです。
『グッバイシングル』は撮影が2015年8月から11月、劇場公開が2016年6月なので、「サイムダン」のドラマ放送前に映画が公開されているんですね。