映画『ソウル・ステーション』「新感染ファイナル・エクスプレス」の前日譚という触れ込みだったが…
ようやくアニメーション映画『ソウル・ステーション』を見ました。絵柄が好みじゃないということと、見終わって晴れ晴れとするものじゃなさそうだということから、先延ばしにしていました。
キャストとあらすじ
監督:ヨン・サンホ
ヘソン:シム・ウンギョン
キウン:イ・ジュン
ソッキュ:リュ・スンヨン
あらすじ
ヘソンはキウンと旅館暮らしをしているが、お金に困りキウンはヘソンに売春させようとしてけんかになる。ヘソンを探しに来た男性がキウンと落ち合い、ヘソンを探しに出かける。そのころ、老人のホームレスが怪我をして息を引き取り、ゾンビとなり…。
『新感染ファイナル・エクスプレス』の前日譚?
そう思って見た人は、がっかりすると思います。
ゾンビの原因は明らかにならないし、ストーリーの関連はほぼないし。
「新感染」で、電車に飛び乗ったゾンビ1号がヘソンだった、という関連があるというものの、
1.「ソウル~」では夜中にゾンビ発生、ソウルがパニックという話だったのに、「新感染」ではソウル駅周辺はまだ平常通りでした。
2.アニメと実写の違いとはいえ、せめてヘソンの服装くらい同じにしてほしかった。
3.登場するゾンビの特徴(目に映らないものには興味ないとか)が違いすぎる。
などなど、つじつまの合わない部分が目につきます。
家出少女のヘソン
個別の作品として見ると
監督のヨン・サンホさんは、社会の矛盾や問題を扱う人で、「新感染」でも金儲けに走って、家族をおろそかにする父親、利己主義な会社社長などが批判的に描かれていました。この作品でも、
ホームレスや家出少女など社会的弱者が無視され、
社会的弱者には「家」がない人々で、
ゾンビに追われる弱者を、公権力がむしろ弾圧するし、
家出少女は恋人にも父親にも雇い主にも踏みつけられ、
そういう弱者の最後の逆襲がゾンビだとか、
なかなかなデストピアっぷりです。
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私は「社会派」な作品が好きなので、
ゾンビから逃げる市民に向かって警察や軍が発砲する場面に
光州事件や、1987年民主化闘争や、
2016年農民の老人がデモ中に放水されて死亡するという事件など、
そういう「怒り」が表現されているところに、とても共感しました。
家出少女とか、ホームレスとか、
家、帰る場所のない人々が出てくる一方で、
映画の最後には、豪華な高級モデルハウスが舞台になります。
ゾンビから逃げ込んだ警察署では、
牢屋の中が安全で、外にゾンビ、
さらに逃げて走った線路では、
ホームドアの外が安全で、内側にゾンビ、
こういう対比、反転も興味深かったです。
ヘソンに売春させようとしたキウン
マイナス評価される点
「現実を描いている」という点で、高い評価を得ている一方、
「新感染」との関連や、声優の「出来」が悪いなどの面で不評を買ってもいます。
そうなんですよね、シム・ウンギョンさんが、
このアニメ作品のために「新感染」でカメオ出演し、その熱演が話題にもなったのに、そもそもの「ヘソン」の声の演技が・・・、残念でした。
他にも、絵の動きと声が一致していないなど、
なぜプロの声優を使わないんだ、という批判もあったようです。
日本でもそうですが、興行を考えると、
「有名人」を起用することになってしまうんでしょうね。
父親だというけれど。
「新感染」は、「ゾンビ映画はなあ・・・」という後ろ向きな気持ちで、期待値が低かったのに、とても良い作品だった。
その「新感染」の前日譚ということで、期待値が高かった分、ちょっとがっかり…でした。
でも、鬱屈した現代社会を、ちゃんと見せてくれる作品です。
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