お勧め韓国映画『タクシー運転手』をもっと楽しむために!実在の人物の動画あり
2017年の観客動員数でみると最高の映画『タクシー運転手』、公開後の後日談が、さらにドラマチックでした。
映画『タクシー運転手』の概要
あらすじ
ドイツ人記者ピーター・ヒンツペーターは、韓国の光州が大変なことになっているが、戒厳令が敷かれ光州に出入りができないため情報がない、という話をきく。ピーターはソウルからタクシーで光州に向かう。タクシー運転手のマンソプにも危険が及ぶが、二人のおかげで、光州事件の実態が知られることになった。
私たちがこれまで見てきた光州事件に関する写真は、ヒンツペーターさんが命がけで取材したものだったわけです。
映画『タクシー運転手』とヒンツペーターさんに関するもの。
この記事で紹介した、生前のヒンツペーターさんを取材した動画。
この動画に、ヒンツペーターさんが撮影した光州の写真が何枚か出てきます。映画『タクシー運転手』に「あ、あの写真はこの場面だ」というシーンがいくつかあります。
実在のタクシー運転手
映画では、ピーターがドイツに帰るとき、連絡先を聞かれたマンソプは、「キム・サボク」という偽の名前と電話番号を書きます。
光州事件にかかわった人たちは「犯罪者」とみなされていたわけですから、当然でしょう。
映画の最後に、ヒンツペーターは「キム・サボク」との再会を望みましたが、結局会えずに亡くなった、と説明されています。
ところが、映画『タクシー運転手』が公開されて3日目。
ツイッター上で「自分がキム・サボクの長男だ」と名乗る人物が現れました。
最初は、映画の人気に乗じたいたずらか、と思われましたが、報道機関の取材の結果、本人だったようです。
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「キム・サボク」さんの長男現れる
CBSラジオがキム・サボクの長男だと名乗るキム・スンピルさんを取材した記事によると、
キム・サボク(金士福)というのは本名で、キム・スンピルさんの了解を得て「家族関係証明書」(住民票のようなもの)を確認した。
この間、多くの人がキム・サボクというタクシー運転手を探したが、見つからなかった。
実際のキム・サボクさんは、一般のタクシー会社ではなく、ホテルのタクシー運転手だった。キム・サボクさんは英語ができたので、ホテル宿泊客を主に相手にするタクシー運転手だった。
キム・サボクさんは、光州事件の4年後1984年に、ガンで亡くなっている。
サボクさんの長男スンピルさんは、軍事政権下で父のことはひた隠しにしていて、その後も父のことは忘れるようにしてきた。
ということでした。
その後、キム・スンピルさんは、
父親キム・サボクさんの写真や遺品などを公開し、
光州事件記録館と面談したり、光州市長と会ったり、
父親の意志を伝えることに、力を注いでいます。
遺品を公開するキム・スンピルさんの写真と、
生前のキム・サボクさんの写真が載っているオーマイニュースの記事。
(リンク先、韓国語です)
光州事件から37年。その後の軍事政権により、
当時の作戦内容や、
市民への発砲を命じた責任者など、
真相究明がされてきませんでした。
今でも、光州事件は北朝鮮や共産主義者による暴動だ
と主張する人々が多くいます。
どういう根拠や命令体系が、惨事を引き起こしたのか、
惨事を繰り返さないために、記録し、記憶する。
映画の中でも「伝えてくれ、忘れないでくれ」
というメッセージが切実に伝わってきます。
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皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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コメント
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2018年 3月 25日
まだ日本で「タクシー運転手」が公開される前の、お2人のやり取りを、今拝見しました。昨年(2018年)済州島で2度観て、先月(2018年4月下旬)に大阪でも観ました。平日の朝10時半の上映にも関わらず、観客は6割以上客席を占めていました。内容は省きます。お二人のやり取りの中で、「抗争」のとらえ方が気になりました。言葉の使い方などどうでもいいと思います。気風で違えど、説明をすればいいのですから。光州民主化抗争!素晴らしいです。勿論、光州民衆闘争でもかまいません。言葉ではなく、国家権力の暴力と闘った民衆の記憶を、私たちは共有し記憶することで、光州市民とその犠牲者に、応えたいと思います。
マダム ヨファ様
コメントありがとうございます!
「タクシー運転手」、3度ご覧になったんですね。素晴らしいです。
確かに名称はどうあれ、それが指し示すものが明らかであれば問題ありませんよね。
時々、政治的立場によって同じ事象でも異なる呼び方をすることがあります。
光州に関しても、抗争か闘争かというのは問題ないのですが、光州事態などと呼ぶ場合は、小さな出来事だったという印象を作り、記憶の共有や歴史に刻むことを避けようとする政治的意図からくるものだと思います。
いずれにしろ、この映画のヒットによって、発砲命令を誰が下したのかなどの真相解明が進むことを願っています。
日本でも公開されましか。日本での反応が気になりますね。
それはさておき、
「今でも、光州事件は北朝鮮や共産主義者による暴動だ
と主張する人々が多くいます。」
私が韓国人であることが恥ずかしいです。
特に私が住んでるブサンは現在の「자한당」の「콘크리트 지지층(コンクリート支持層:자한당がどんな悪事を働いても支持する人をこう呼んでます)」が未だに多いんで、そんなでたらめな流言飛語を”積極的”に信じ込む人がごまんといます。
はずかいいです。
でも今の若者の間では変化が見られるようで、それが慰めって言いましょうか・・・
ちなみに韓国では「事件」や「事態」じゃなくて「광주 민주화 항쟁(主化抗争)と呼んでます。
そういえば日本語の「抗争」と韓国語の「항쟁(抗争)」も使い方が違いますね。^^
韓国では暴力組織間の抗争を「항쟁」とは言わず、独裁とか虐政などに対抗するのを「항쟁」と言いますが、日本でもこういうのを「抗争」と言いますかね。
カワトシさま
コメントありがとうございます!
『タクシー運転手』の日本での公開は来年5月頃と言われています。
ヒットしますかねぇ、どうでしょう。
私は、元夫が光州の人だったので、
結婚していたころ、光州の人たちから当時の話を聞いたので、
こういう映画を見ると、具体的な人々の顔が浮かんできます。
歴史認識は、日本でも深刻な問題がありますので、
「修正」や「歪曲」はつきものですが、
そういう問題の渦中にある素材で映画を作り、
しかも1200万を超す人々が見る、
という事実が、すごいことだと思います。
日本では無理じゃないかと。
学生の頃、민주화항쟁をそのまま「抗争」と訳して、
「日本じゃ抗争はヤクザの抗争でしか使わないよ」
と笑われたことがあります。
「事件」や「事態」だと、実感わかないんですけれどね。
답변 감사합니다.
역시 그렇죠?
‘항쟁’은 한국과 다르게 쓰이는 게 확실하다는 사실을 확인한 것만으로 큰 소득입니다.
다만 한국사람에게 말할 때 ‘광주 사건’이나 ‘광주 사태’라고 하면 자한당 콘크리트 지지층으로 의심받을 수 있으니 주의할 필요는 있겠죠.
어디 보자…
그럼 혹시 ‘광주 민주화 투쟁’ 정도로 번역하는 건 일본어적인 감각으로 어떤지요?
한국에선 광주 민주화 ‘운동’이라고도 부르는데 일본어적으론 이런 경우에도 ‘운동’을 쓰는 게 자연스러운지도 궁금하네요.
아무튼 덕분에 좋은 공부가 됐습니다.
カワトシさま
そうですね、「光州民主化闘争」が最もよく見られる表現でしょうか。
「運動」は「働きかけ」という意味ですから、民主化を求める学習や集会や呼びかけなどをイメージするので、1980年5月を指して「運動」とはいえませんよね。「運動に対しての武力制圧」ということはできると思いますが。
出来事は一つなのに、それぞれの立場や思惑によって、表現や言葉の一つ一つが変わるというのが、難しいところですね。