映画『ビューティーインサイド』~「ハン・ヒョジュがかわいい」だけじゃなかった
その人が、その人であることは、何によって保証されるのか。
キャスト
監督:ペク(백)
イス(이수): ハン・ヒョジュ(한효주),
ウジン(우진): キム・デミョン(김대명), ト・ジハン(도지한), ペ・ソンウ(배성우 )・・・
サンベク(상백):イ・ドンヒ(이동휘)
公式ホームページより
あらすじ(ネタバレあり)
ウジンは、18歳のころから、眠りから覚めると外見が変わってしまう。
人に会う仕事ができないので、インターネットを生かして家具デザイナーとして働いていた。
ある日、家具屋で働くイスに恋をしたウジンは、彼女をデートに誘い、
外見が変わる秘密も打ち明け、うまく付き合っていけそうだと思っていたが・・・。
イスは「見るたびに違う男と付き合っている」と周囲に思われ、
さらに見るたび異なるウジンの外見にもストレスを感じ、精神安定剤を飲むようになる。
ウジンは、イスをストレスから解放してあげようと別れを切り出し、外国へ旅立つ。
10か月後、イスはウジンに会いに来る。
「姿が変わるストレスより、あなたに会えないストレスの方が大きい」
ハッピーエンドでした。
みどころ
とにかく、イスを演じるハン・ヒョジュが、文句なくかわいい。
韓国のドラマや映画をよく見る人なら、
「あ、あの人」と分かるような人気俳優たちがウジン役を演じます。
監督さんがCMディレクター出身ということで、画面が美しい。
最初の印象としては、「内面の美しさ」というテーマのくせに、見た目の美しさが秀でていました。
予告編より
韓国映画っぽくない
最初、映画の設定が「眠りから覚めるたびに外見が変わる」とあったので、
韓国映画なら、てっきりコメディかと思っていました。
笑いで攻めてこない分、下ネタもほぼありません。
2時間枠のトレンディドラマという感じでした。
上野樹里
ウジンを演じる役者の中に、上野樹里がいました。
代表作は「のだめ」なのでしょうか。
私はここ数年、すっかりテレビを見なくなりましたが、
もしかしたら、最後に見た連ドラが、「ラスト・フレンズ」かもしれません。
ユーチューブから
「ラスト・フレンズ」で上野樹里が演じた役も、
体は女だけど、心は男、という役でした。
だから、体は女で、心が「ウジン=男」の役に声がかかったのかも?
「ラスト・フレンズ」での上野樹里
その人がその人である根拠
かわいい女優さんが主演で、ウジン役の俳優さんもイケメン比率が高くて、
告白や、ベッドシーンや、プロポーズの場面でのウジンは、格好いいし。
画面もきれいで、最初は、やっぱり「見た目?」という印象でした。
「毎日姿が変わる相手を愛せるか」という問題に、
性格が似ていて、古くからの知り合いのようで、一緒にいると楽、
姿が変わっても、お互いを好きな気持ちは変わらない、
見た目だけでない、匂いや感触などを「感じる」、
イスは、そうやってウジンを受け入れようとしました。
逆の場合
では、姿が同じなら中身が変わっても愛せるのか。
ヒッチコックの映画『サイコ』は二重人格の話でした。
『サイコ』は極端すぎますが、
多くの恋人や夫婦の別れ話の中に、
「あなたは変わってしまった」というセリフが入ると思います。
「サイコ」怖かったです。
と、考えると、
同じ姿のまま、人格が変わる、性格や気持ちが変わる
というほうが、問題が深刻です。
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イスの葛藤
「僕がいつも先に君を見つけるよ、そしてこうやって手を握る」
とウジンはイスに言いました。
毎日姿が変わると、待ち合わせなどで、イスはウジンを見つけられないからです。
先に見つけてくれればいいけれど、ウジンの身に何かあったとき、
イスは、彼を見つけられるのか。
「好きな人を助けられない」というのは、苦しいものです。
予告編より
実は、ウジンのお父さんも同じように「姿が変わる」人だったとか。
だからウジンのお母さんは、今のイスと同じように苦しみ、
その苦しみを知ったお父さんは、姿を消した。
映画のラスト、ウジンのお父さんが現れ、お母さんは、
「あなたが近くで見守っていること、感じていた」
といいます。
姿は変わっても(お母さんも年取っているし)、
好きな気持ちがあれば、わかるものよ、ってことなのでしょう。
いいお話です。
私の感想
姿が変わっても、気持ちが変わらなければ問題ない。
姿が同じでも、気持ちが変わってしまったら、離婚もの。
いっそ、気持ちが変わったら、ついでに姿も変わるんだったら、
別人だから、とあきらめもつくだろうに。
なんてことを考えていました。
つまり、この映画に対しては、
発想はとても面白いのですが、人と人との間の葛藤においては、
「気持ちの変化」がドラマなのであって、
「姿の変化」は、根本的な葛藤にはならないのかもしれない。
いいお話で、ハンカチも濡らしましたが、
若干、上滑りな感じがしたのは、それが原因かもしれません。
予告編より
唯一の下ネタ
記憶に残っているセリフを思い返してみると、
「へ~、そういうんだ」と思ったのがひとつ。
ウジンの「姿が変わる」事情を理解している友達のサンベク。
ウジンが、パク・シネになったとき、
「お願いだ、一回だけ、やらせてくれ」
と言ったのですが、韓国語は、
커다란 우정의 힘으로 한번만 주라
大きな友情の力で、一回だけ、くれ
と言っていました。
字幕がなかったら、「なにを、くれってこと?」
と、わからなかったかもしれません。
한번만 (섹스해) 주라
一回だけ(セックスして)くれ
ということなのでしょうけれど、省略しすぎ。
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