『法廷通訳人ー裁判所で日本語と韓国語のあいだを行き来する』本を読みました

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通訳者が書いた本というと、英語の鳥飼玖美子さんとか、ロシア語の米原万里さんとか。いずれも国際政治や国際会議など晴れやかな場で活躍されたイメージです。法廷通訳で、しかも韓国語・・・というかなり珍しく貴重な経験が本になりました。といっても、2015年出版です。

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法廷通訳という仕事

私も、法廷通訳をしていました。

「していました」と、過去形にしたのは、
2年前の2017年に静岡から横浜に引っ越したとき、
少し迷いながらも、裁判所への登録をしなかったからです。
でも、あとで調べたら、そもそも横浜では
「韓国・朝鮮語の通訳人は現在募集していません」
ということでした。迷って損した(笑)。

引っ越した年には、静岡で登録が残っていたので、
通訳に1度、通訳人研修の講師に1度、呼ばれましたが、
さすがに、2年たちましたから、名簿から抹消されたと思います。

結婚した年から2017年まで25年間。
入管法違反、風営法違反、窃盗、殺人・・・
一瞬の判断、悩んだ末の選択、偶然の悲劇、
本当に、現実は小説より奇なり、です。

人を裁く場に関わる重圧に、
毎度毎度、胃が痛くなる仕事です。
でも、守秘義務というのがありますから、
だれかに愚痴を聞いてもらうわけにもいきません。

そんなお仕事について書かれた『法廷通訳人』を読みました。
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著者の丁海玉(ちょん・へおく)さんプロフィール。
1960年神奈川県川崎市生まれ。在日韓国人二世。
幼少期を北海道旭川市で過ごす。
1984年ソウル大学校人文大学国史学科卒業。
1992年大阪高等裁判所通訳人候補者名簿登録。
大阪、広島、名古屋、高松各高等裁判所管内にて法廷通訳研修講師(韓国語)を務める。
2002年に発表した「違和感への誘いー法廷通訳の現場から」(『樹林』448号)は、第22回大阪文学学校賞(エッセイ・評論・ノンフィクション部門)を受賞。著書に、詩集『こくごのきまり』(土曜美術社出版販売、2010年)。
雑誌『space』同人。

数年前に、大阪で裁判員裁判の研修を受けたことがあり、
その時の講師が、この本の著者である丁海玉さんでした。

真面目で誠実で、控えめながらも、
経験と知識に裏打ちされた落ち着きと貫禄を感じさせる方です。

『法廷通訳人』の内容。
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在日韓国人二世の著者は、ニ十数年にわたって韓国語の法廷通訳を務めてきた。
被告人が話す言葉(韓国語)を、また裁判官、弁護人などの言葉(日本語)を通訳する。
人が裁かれる法廷の場で、人生を左右する言葉をやりとりし、
時には人間の苦い闇がえぐり出され、時には人生のきしむ悲痛な音を聞く。
法廷通訳の難しさ、裁判員裁判への移行、そして日韓の言語と文化の違いから生じるさまざまな出来事を描く、法廷通訳人が見た法廷ドキュメント。

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プロフィールにあるように、
詩集を出していらっしゃるんですね。
『法廷通訳人』も、文学的表現というか、
ノンフィクション、経験談なのに、
小説のような語りです。

被告人の名前や、事件の内容など、
読む人が読めば、個人が特定されてしまわない?
守秘義務、大丈夫!?
と思いますが、抜かりはないはず。
ドキドキしてしまうのも、
おそらく「小説のような語り」だからでしょうか。

本文にもありますが、この本に書かれていることは、当然ながら、
「個人的に感じたことや見たこと」です。
時代とともに制度も機器も変わっていきますし、
丁海玉さんが活動していらっしゃる関西と、
私が経験した静岡と、異なるところがあります。

それでも、法廷通訳という仕事を、
これほど具体的に、内面的に書かれたものは他にないと思います。

法廷通訳人 裁判所で日本語と韓国語のあいだを行き来する[本/雑誌] / 丁海玉/著

価格:1,944円
(2019/2/16 20:47時点)
感想(0件)

題名:法廷通訳人
出版社:港の人
価格:1800円+税

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!

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コメント

    • カワトシ
    • 2019年 3月 03日

    殺伐とした時間으로 다양한 사용례를 검색해 봤는데

    굳이 말하자면 ‘느긋하고 여유로운 시간에’ 대비되는 뉘앙스로 쓰인 예들이 많이 눈에 띄는군요.
    그렇다면 (정서적, 심리적, 정신적으로)쫓기는 시간, 여유가 없는 시간, 아등바등하는 시간 등으로 문맥에 맞게 다양하게 번역할 수밖에 없겠다는 생각이 듭니다.

    殺伐라는 한자어는 역시나 한국어 ‘살벌’과는 여러 면에서 사뭇 다른 뉘앙스로 쓰임이 확실한 것 같네요.

    역시 일본어는 결코 쉽지가 않아요. ㅎㅎㅎ

      • sokjon2016
      • 2019年 3月 04日

      カワトシさま
      コメントありがとうございます。
      なるほど、
      殺伐としている:うるおいやあたたかみの感じられないさま。
      살벌하다:병력으로 죽이고 들이치다.행동이나 분위기가 거칠고 무시무시하다.

      二つを比べるだけでも、かなり印象が違いますね。
      おっしゃるように、日本語の「殺伐」は情緒的、心理的な面での表現かもしれません。
      韓国語で”살벌한 생활”を検索すると204件しかヒットしませんが、
      日本語で「殺伐とした生活」を検察すると13500件のヒットです。
      この数字だけでも、違いが如実ですね。
      非常に興味深いですね。私も例文収集して、新年度の授業で紹介してみたいです。
      本当に、コメントありがとうございます。

    • カワトシ
    • 2019年 3月 03日

    안녕하세요. 또 들렀습니다. ^^;

    오늘 댓글을 다는 이유는 다름이 아니라 제가 연재하고 있는 ‘코패니즈 한자어’의 리스트 중에는 한국어 ‘살벌’과 일본어 殺伐의 뉘앙스 차이도 들어 있습니다. 그래서 시간이 날 때마다 인터넷에서 검색해서 사용례도 수집하고 하면서 조사하고 분석 중이거든요.

    근데 sokjon 님께서 달아 주신 댓글에도 이 ‘살벌’이라는 한자어가 나와서 뭐랄까, 왠지 신기한 생각이 들었습니다. 그리고 ‘시간’에도 ‘살벌’이라는 표현을 하는구나 싶어서 공부가 됐습니다.

    아무튼 일본어 殺伐는 한국어로 번역할 때 그대로 ‘살벌’이라고 하면 안 되는 경우가 많다는 제 생각이 더 큰 확신으로 변하게 됐습니다. 덕분에요.

    제가 지금껏 정리해 본 일본어 殺伐의 역어 후보군으로는

    그대로 ‘살벌’이라고 해도 되는 경우,
    ‘살풍경스럽다’라고 해야 뉘앙스가 비슷해진다고 생각되는 경우,
    그리고 때로는 ‘을씨년스럽다’
    또 경우에 따라선 ‘황량하다’라고 번역하는 게 적절한 경우 등이 있는데

    이 殺伐とした時間의 경우는 위의 어느 것에도 어울리지 않을 것 같네요.

    전철을 타고 가는 동안 책 한 권 읽을 여유도 없는 殺伐とした時間에서 벗어난다…
    대충 이런 문맥이라고 판단됩니다만… 이 경우는 며칠간 생각이 날 때마다 계속 머리를 이리저리 굴려 봐도 마땅한 한국어 표현이 떠오르지가 않더군요. 인터넷 일본어 사전의 뜻풀이 중에 아래와 같은 것들도 있던데

    殺気が感じられるさま。また、うるおいやあたたかみの感じられないさま。
    穏やかさやあたたかみの感じられないさま。とげとげしいさま。
    人を殺すこと。荒々しくむごい・こと(さま)。
    人を殺そうとするような荒々しさが満ちているさま
    人間関係・雰囲気・風景などに、うるおいや暖か味のないさま。

    이중에서 가장 근접한 어구를 고르자면 うるおいやあたたかみ라는 부분이 아닌가 싶습니다.
    그렇게 볼 때 殺伐とした時間의 경우는 (정서적으로)메마른, 황량한 시간이라고 번역할 수 있을 듯한데 일본인 입장에서 보실 때는 어떤지를 알고 싶네요. ^^;;

    아무튼 덕분에 연재에 쓸 예문이 하나 더 늘었습니다. 고맙습니다!

    • カワトシ
    • 2019年 2月 23日

    또 놀러 왔습니다. ^^;;

    정말이지 지난 십수 년 동안 읽은 책은 열손가락에 꼽힐 정도…
    그것도 전부 필요에 의한, 실용서나 건강에 관련된 서적들뿐이네요. ㅠ.ㅠ

    지금도 여전히 소설이나 수필 같은 걸 읽을 수 있는 느긋한 시간을 확보하는 게 힘들지만
    언젠가 시간이 나면 꼭 읽어보고 싶은 마음이 들게 하네요.

    좋은 정보 감사합니다.
    저의 ‘언젠가 꼭 읽어 볼 도서 목록’에 올려 놓겠습니다.

      • sokjon2016
      • 2019年 2月 24日

      カワトシさま
      「いつか読む図書目録」への搭載、ぜひ!
      2年前に、静岡から横浜へ引っ越してから、
      電車に乗る時間に小説を読むようになりました。
      殺伐とした時間からの逃避ですね。

      静岡では、仕事の移動が自動車かオートバイだったので、
      本を読む=机の上で勉強する
      つまり、本と言えば専門書で、
      小説を読むという発想はありませんでしたね。
      休みの日にカフェで読書
      という余裕のある生活ができるといいですね。
      コメント、ありがとうございます!

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