映画『ダイビング・ベル/セウォル号の真実』釜山国際映画祭での問題作

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2014年のセウォル号事件からもう2年半。真相解明は進んでいるのでしょうか。

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映画の概要

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2014年4月16日にセウォル号が沈没しました。
事故による死者は295人、行方不明者9人と言われています。
沈没の原因は、過積載や航海士の技術不足など人災、つまり防げたはずの事故だったと思われます。
さらに、事故後の救助作業にも問題があったようで、被害をより拡大したのではないかと言われています。

「ダイビング・ベル」は、長時間の水中作業を可能にする装置の名称。
この装置を持っている民間業者が、救助作業をボランティアで手伝うと申し出たにもかかわらず、なぜか政府側は拒否。
さらに「ダイビング・ベルが救助を邪魔している」という報道までされます。

映画は「告発ニュース」のイ・サンホ記者がその顛末を取材している様子を追ったものです。

『ダイビング・ベル』予告編

釜山国際映画祭での上映中止要請

2014年10月に行われた釜山国際映画祭で、釜山市長がこの映画の上映について「政治的な中立性を欠く」という理由から上映中止を求めました。

当然、市長による言論弾圧だという批判がおき、映画は上映されましたが、その後、映画祭の委員長が更迭されるという「報復人事」がされました。

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後ろめたいことがある?

事故当時の韓国のメディアは「救助活動に膨大な船や人員が投入されている」と報道していましたが、沈没現場で救助活動を見守る事故関係者たちによると、そんな数の船も人員も来ていなかったそうです。

人手が足りないなら手伝うと、民間業者が名乗りを上げても、断られるし、妨害されるし。

なぜ救助活動をしないのか、
なぜウソの報道をするのか、
なぜ民間業者に手伝わせないのか、

映画でははっきりした理由は示されませんが、
民間業者や報道記者らへの、あからさまな拒絶や妨害をみると、
「隠したいこと」があると思わざるを得ません。

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『ピノキオ』の記者がいれば

映画の中で、「メディアは目を覚ませ!」と叫ぶ人々が映ります。
本来は、沈没の原因究明を迫り、政府の手抜き救助を告発すべきメディアが、政府の意向に沿った報道しかしない。

ドラマ『ピノキオ』では、イ・ジョンソクら記者たちが、財閥と報道機関の癒着を暴いてくれました。
報道機関が腐敗しているという現実を日々実感しているからこそ、
こういう記者たちがいてくれればという希望と、
現実はドラマとは程遠いという絶望や諦めと、
身につまされます。

「ダイビング・ベル」で、政府の救助活動を糾弾するイ・サンホ記者は、
どこか既存のメディアをやめて「告発ニュース」というところに所属しているそうです。

この映画を、たくさんの人々が見ることで、良心的な記者さんが支えられ、真相究明の一助になれば、と思います。

上映情報などについて。
公式HP

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