映画『弁護人』のソン・ガンホが韓国のブラックリストに。しかも次回作は!
最近、韓国の芸能関係ニュースに「ブラックリスト」という単語を見かけるようになりました。
「文化界ブラックリスト」
第一報を報じたのは「韓国日報」のようです。2016年10月12日の「韓国日報」のネット記事。
証拠写真つきです。
映っている写真は、青瓦台が昨年5月に、文化芸術界の検閲すべき9473人の名簿を作成し、文化体育観光部に送った文書の表紙です。
内部関係者が「これはひどい」と写真を撮ったものが流れたそうです。
個の名簿は4つの項目に分かれていて、
1.セウォル号政府施行令廃止要求宣言に署名した文化人549人
2.セウォル号時局宣言に参加した文化人754人
3.前回の大統領選挙でムン・ジェイン支持宣言をした芸術人6517人
4.前回のソウル市長選挙でパク・ウォンスン支持宣言をした1608人
合計9473人の名前が挙がっています。
映画「弁護人」のソン・ガンホの次回作
2016年12月29日のYTCネットニュースの記事の要約・意訳です。
来年2017年夏に公開予定の映画「タクシー運転手」で、ソン・ガンホはソウルのタクシー運転手を演じる。1980年5月のある日、マンソプ(ソン・ガンホ)はある外国人客ピーターを乗せて光州に向かう。このドイツ人ピーターを、ドイツの代表俳優と呼ばれるトーマス・クレッチマンが演じる。
この映画は、1980年の光州民主化闘争当時、特派員として日本にいた「青い目の目撃者」ヒンツペーターがモデル。ヒンツペーター記者は当時、ドイツ第1公営放送の記者として、光州の現場の映像を外信に報道した。
☆光州民主化闘争を扱ったミュージックビデオを紹介したことがあります。
この映画に、「文化界ブラックリスト」に名が挙がり「反政府人物」と目されたソン・ガンホが出演するということで、話題を集めている。
セウォル号の遺族を支持するなど、現政権が敏感な問題にも積極的に発言する一方、ノ・ムヒョン大統領をモチーフにした映画「弁護人」に出演している。
次回作として光州事件を扱う映画を選んだ事実に、ネットでも「国政が混乱しているこの時期に、大したものだ」「勇敢な選択だ」など、応援メッセージが送られている。
スポンサーリンク
ヒンツペーター氏の動画
YTNニュースのこの記事で、ヒンツペーター氏が、自身が撮影した写真を紹介する動画を見ることができます。
ヒンツペーター氏
当時撮影した写真の一枚
歴史を伝えるというのは難しいことです。
見たり聞いたり経験した人、その人自身が出来事を記録しても、
その記録には主観がはいるので、「客観的歴史」は存在しえません。
パク・クネ現政権は、国定教科書を作ろうとしました。
政権の主観がバリバリに入った教科書です。
光州事件は特に、政権が教えたい歴史と犠牲者が覚えている歴史の間に
かなり開きがあります。
もちろん、犠牲者側が覚えている歴史も、主観的な歴史です。
過去の出来事の、事実そのままを知ることは不可能ですが、
ジャーナリストは、できる限り事実そのままを伝えようともっとも努力する人だと言えます。
もちろん、そうした努力をするのは、良心的ジャーナリストで、
権力者のために偏った報道をするジャーナリストを痛烈に批判したのが、
ドラマ「ピノキオ」でした。
ヒンツペーター氏は2016年1月に78歳で亡くなっています。
彼を主人公にした映画を、今、作るということに、大きな意味を感じて、
ソン・ガンホは出演を決めたのだろうな、と思います。
来夏公開の「タクシー運転手」が楽しみです。
スポンサーリンク
コメント
-
2017年 2月 11日
-
2017年 10月 11日
こんにちは(´∀`)
先日、『華麗なるリベンジ』との2本立てで『弁護人』観てきました。
正直な感想は、『光州の二の舞をするな』というセリフ(字幕)以降、
何度も何度もため息が出、心の中にどんどんと色んなものが溜まっていく、
そんなツライ気持ちでいっぱいになった映画だったと思います。
でも、最後のシーンではそれを全部吐き出せたようでよかったのですが…。
『光州5.18』同様、私の中では特別な位置の作品になった気がします。
しかし、クァク・ドウォンさん。ご本人はとても優しいいい方なのに、
あそこまでの悪役を演じられるのはやはり名優ですよね~
観ながら、完全にシワンくんのファンを敵に回した~と思ってました(´艸`)
実際は仲良しのお二人ですけどね~
韓国は特に、でしょうか?
ドラマの中でも、その時々の時勢に合わせた風刺がきいているものが多くないでしょうか?
そういったものは、ドラマや映画の中では握りつぶされたりすることがよくありますが、
実際にはちゃんと放送なり、上映なりできてよかった~とも思います。
私は犠牲者側が覚えている主観的な歴史の方が興味があります。
その時の理解が間違ったことだったとしても、どのような気持ちでその事実を受け止めたか、
それを知りたいと思います。
客観的なことは、文字なりナレーションなりでつけてもらえば。
『ピノキオ』は、ハミョンが飲み会で先輩を使って訴えた『見たいニュースか見るべきニュースか』のシーンが好きです。
そして色々と迷うハミョンを、罪を犯してしまったけど、正しい道へと導いてくれるジェミョンとの会話も好きでしたね~
やはり名作でしたね(´∀`)
また長くなりました。すみません、いつもいつも(^▽^;)
NICO様
コメントありがとうございます!
「弁護人」、もう一度見に行きたいなと思っています。
私はイム・シワンのファンではありませんが、
クァク・ドウォンさんの敵にまわりましたね(笑)。
素も悪い人に思えてきます・・・。
歴史は、客観的な歴史は知りようがありませんが、
その事実なり出来事を、人々がどう受け止めたのか、
どのような影響を与えたのか、
ということが、歴史を学ぶ意味だと思っています。
もちろん「何が起きたのか」の追求が前提になりますが。
「ピノキオ」は、報道の在るべき姿とか、報道が歪曲されてしまうプロセスとか、
とても社会的なテーマを扱いながら、
ハミョンらの人間の成長をしっかり描いていたのがすごいな~と思いました。
しかも恋愛ドラマとしても見ごたえあったわけですから、
ほんとうにハイ・クウォリティーですよね。
メモしておきたい名せりふが随所にありました。
ではでは、いつもありがとうございます!!