『ミスターサンシャイン』見終わっての感想(その2)
仕事に追われて、みたい映画もずいぶん見逃してしまいました。「2018 APAN STAR AWARDS(アジア太平洋スターアワード)」で、『ミスターサンシャイン』のイ・ビョンホンが大賞を受賞したというニュースを見たので、感想の続きを書いてみます。
ドラマ終盤にかけての緊張感
『ミスターサンシャイン』は、主演5名の恋の物語ではありますが、
ドラマが終盤に入ると、ドラマのテーマである「義兵」がどんどんクローズアップされていきます。
第23話の最後の部分。
義兵たちの拠点が日本軍にバレてしまいます。
拠点を移動するための時間稼ぎをするために、「オトリ」を使います。
鍼灸師のおじいさんが元の拠点に一人残って、わざと捕まり、
日本軍をかく乱するために、嘘の情報を流します。
殺されてしまうことは、覚悟の上。
日本軍をおびき寄せるため、オトリのカゴを担ぐ義兵たち。
この人たちも、殺されてしまう覚悟。
この際、言いたかったことをいうのはどうだ。
우리 이참에 평생 못 해본 한 마디씩 하는 게 어때요.
死ぬ前に、言ってみたいこと。
「近こうよれ~!」
이리 오너라!
イリオノラ~!
時代劇などで、よく聞くセリフです。
王や貴族が、召使たちに「ちょっと来い」と呼ぶとき。
義兵たちの多くは、奴隷のような身分で、
「イリオノラ」と言われ、こき使われる人生だったわけです。
そうやってこき使ってきた身分社会の朝鮮を救うために、
命を懸ける義兵たち。
最後に「イリオノラ~!って言ってみたいよ」と言って笑う義兵たち。
[悪い]日本 VS [良い]朝鮮
という二項対立ではなく、
朝鮮の中でも、
民族を日本に売って保身に走る朝鮮人
使用人を鞭で叩き殺してしまう貴族
という、社会の矛盾を抱えていたことが、描かれていました。
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アウトサイダーの主人公
最終話の一つ手前の23話は、本当に泣かされました。
エシン(キム・テリ)を守るために3年間の刑務所暮らしをして、
さらにエシンを助けるために、朝鮮に戻ってきたユジン(イ・ビョンホン)。
感激の再会シーン。
당신은 당신의 조선을 구하시오, 나는 당신을 구하겠소.
이것은 나의 히스토리이자 러브스토리요.
あなたはあなたの朝鮮を救えばいい。私はあなたを救う。
それが私のヒストリーであり、ラブストーリーだから。
ユジンは、奴隷のような使用人身分出身で、両親をヤンバン(貴族)に殺され、
アメリカにわたって軍人になった。
だから、朝鮮が日本に侵略されてしまうといっても、
朝鮮に帰属意識もなければ、朝鮮への愛国意識もない。
愛した女性が大切に思っているものを、自分も大切にしたい、
というラブストーリーが、ヒストリーになっていくわけですね。
イケメン主人公たち。
ク・ドンメ(ユ・ユンソク)も、
朝鮮では被差別民の白丁で、日本に渡った人ですから、
ユジンと同じく、朝鮮に対する愛国意識はない。
キム・ヒソン(ピョン・ヨハン)は、金持ち両班ですが、
使用人を痛めつける家柄に反発しているので、やはり、
朝鮮を守りたいという熱烈な感情はない。
イケメン主人公たちが、
身分制度や古い価値観に対して、冷たく冷めた視点を持ったいるため、
[悪い]日本 VS [良い]朝鮮 にならず、
同じ民族同士だけで理解しあう愛国物語にならず、
普遍的なラブストーリーから、義兵と救国の物語に
無理なく広がっていったのだと思います。
「2018 APAN STAR AWARDS(アジア太平洋スターアワード)」で、
『ミスター・サンシャイン』は
大賞に、イ・ビョンホン
新人賞に、キム・テリ
女優演技賞に、キム・ミンジョン
今年のドラマ賞
4冠だったそうです。
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皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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