映画『ユンヒへ』少数者に限らずじわじわ感動を呼ぶ人生
「文学的」と言われる映画は、物語の起伏がなくてわかりにくいから好みではないのですが、やはり「名作」と言われる作品は好みでなくてもじわじわ感動します。ドラマ『夫婦の世界』の主演女優キム・ヒエが見たかっただけですが、自分の人生を振り返るほど、いい映画でした。
映画『ユンヒへ』
2019年公開(韓国)
監督:イム・デヒョン
(30代、次世代若手監督として期待されているとか)
キャスト
ユンヒ(ユニ):キム・ヒエ
(ユ・アインのドラマ「密会」のヘウォン、「夫婦の世界」のソヌ)
セボム:キム・ソヘ
(K-POPのIOIのメンバー、本業歌手だそうです)
ギョンス:ソン・ユビン
(この人も初めて見ましたが、「神と共に」でチャ・テヒョンの子供時代で出ていたそうです)
あらすじ
ユンヒは過去のつらい経験から、自分の感情に蓋をして生きている。
娘のセボムの提案で日本の小樽に旅行することになり、
蓋をしてきた過去と向き合い・・・
ユンヒ?ユニ?
映画のタイトルは
ユンヒへ
ですし、
予告編の字幕でも、
ユンヒ
と出ますが、音声は
ユニ
と聞こえますよね。
윤희 yun-hi
多くの人々は
二文字目の子音ㅎ(h)をはっきり発音しません。
윤희 yun-hi [유니]yun-i
と聞こえてしまいます。
映画のラストシーンの決め台詞
윤희니? ユンヒニ?(ユンヒなの?)
も「ユニニ?」と聞こえるので、
いっそ映画のタイトルも字幕も
ユニ
にしてしまってもいいのに、と思いました。
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性的少数者を描いたというけれど
日本人俳優が演じる「じゅん」という女性が
韓国で暮らしていた高校時代に、
ユンヒと心を通じ合わせるのですが、
それぞれの家族により引き裂かれ、連絡を絶たれ、
二人とも、心を閉ざしたまま、生きています。
女性同士の恋愛に反対されて、
「今」の人生を諦めてしまっている
という設定ではありますが、
家族の反対・・・と考えると、
進路
就職
恋愛
何であっても「諦めた」ことがある人々にとって
共感できる物語です。
「諦めたこと」に向き合うことで、
「今の人生」を生きられるようになる。
「過去」を整えることで、
「未来」を踏み出せる。
実に実に普遍的なテーマですが、
キム・ヒエさんの人生に絶望した表情と、
最期の晴れやかな笑顔が、本当にすごい。
そして、ユンヒとじゅんの再会シーン。
日本人俳優さんの
윤희니? ユニニ?
日本に帰国して、
何十年もユンヒと離れて暮らしているのに、
ふっとすれ違ったユンヒに、
윤희니? ユニニ?
と口をついて出てくる。
よく思い出す
夢を見る
ずっとずっと思い続けてきた
ということが、伝わる場面でした。
他にも良かった点
今でこそ LGBTQという言葉がありますが、
20年前、30年前の当事者は
誰からも理解されない
という孤独感が強かったと思います。
でもこの映画は、
韓国に住むユンヒに書いた手紙を、
じゅんの叔母が投函し、
ユンヒの娘が先に開封して読む。
ということろからスタートします。
当事者の近くに、
理解者、応援者がちゃんといるんですね。
でもユンヒのお兄さんは、
ユンヒが「自分を生きる」ことに最後まで反対して、
世間的に「普通に生きる」ことを強要していました。
ソウルで暮らすことを決めたユンヒがお兄さんに
잘 잘아 오빠(元気でね、お兄さん)
と別れを告げた場面は、妙に爽快でした。
そして、元夫が再婚を報告に来た時、
행복해(幸せにね)
と心からほっとした様子を見せていました。
とうてい理解できない人は、さようならをして、
傷つけてしまった人とは和解して、
周囲の人たちとの関係も、ちゃんと描かれていたのもよかったです。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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