セウォル号事件の遺族を扱った映画『君の誕生日』あれから5年・・・

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2014年4月に起きたセウォル号事件で息子を失った家族を描いた映画『君の誕生日』が2020年6月が日本で公開されることになりました。韓国では事件から5年後の2019年4月に公開されていて、ハンカチ必須の号泣映画だと聞いていたので、見るのに覚悟がいります。

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映画『君の誕生日』

2019年4月公開(韓国)原題:생일センイル(誕生日)
4 (2)
監督:イ・ジョンオン

あらすじ
セウォル号事件で息子を失ったスンナムは、
他の遺族たちと距離を感じて付き合おうとしない。
スホの妹イェソルは、母親と共に悲しみながらも、
悲しみで手一杯の母親に対して寂しさも感じている。
夫であるジョンイルは、ベトナムで仕事をしていて、
息子の事件の時にもある事情で韓国に戻れなかったが、
ようやく帰国できることになった。
しかし、スンナムは一番つらい時期に不在だった夫を受け入れることができない。
そしてまた、息子スホの誕生日がめぐってきた。

予告編
画像をクリックすると動画になります。
7 (2)

キャスト

お母さん役がチョン・ドヨン
9 (2)
代表作は「シークレット・サンシャイン」。
カンヌで賞を取った作品ですね。

お父さん役がソル・ギョング
4 (3)
代表作が「ペパーミントキャンディ―」なのか。
最近の話題作「殺人者の記憶法」の人、と言った方が分かる人が多いと思います。

妹役のキム・ボミンちゃん
10
昔、短編映画でチョン・ドヨンの娘役の経験ありだとか。
それにしても、立っている姿だけで寂しさが伝わってくるという名子役。

セウォル号事件後はじめての商業映画

セウォル号事件を扱った映画は、
「ダイビングベル」


「その日、その海」

など、私もいくつか見ましたが、
いずれも事件の真相を追ったドキュメンタリー映画でした。

今回の『君の誕生日』は、
事実をもとにしたフィクション
で、この事件を扱った初の商業映画です。

これ以前のドキュメンタリー映画では、
被害者の救出、真相究明などの点で、当時の政権を批判していました。
しかし、『君の誕生日』では、
政治的なメッセージはありません。
遺族の悲しみや喪失感を淡々と描いています。
それがより一層、涙をさそいます。

イ・ジョンオン監督は、セウォル号事件の遺族のための団体
치유공간 이웃(治癒空間、隣人)
というところでボランティアをしていて、
遺族たちと共に過ごしながら、その経験を映画にしました。
だから、遺族たちからも好評だそうです。

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セウォル号事件の後の日常

チョン・ドヨンが演じる犠牲者の母、スンナムは、
同じ悲しみを抱えているはずの娘に八つ当たりしてしまったり、
無神経に保証金の話をする親戚に怒りを感じたり、
突然おそってくる喪失感に声をあげて泣いたり。

しかし、世の中の日常というのは、時間の経過とともに、
世の中では、セウォル号事件のニュースを聞いても
他人事、過去の出来事になりつつある。
遺族の慟哭の声ですら、近所では「騒音」でしかなかったり。
でも、悲しみに寄り添って、手を握っていくれる人もいます。

世の中は、あまりにつらい記憶だから、正直はやく忘れたい、
でも遺族たちはまだ、生傷・・・なんですよね。

その生傷は、痛みは、
遺族の間でも、家族の間でも、完全には分かり合えない・・・。

悲しみの共有、グリーフケア

この映画に関しては、ネタバレというのはないような気がします。
セウォル号事件があり、遺族の悲しみがあり、犠牲者の誕生日会をする。
予告編をみても、そのままです。

そんなわけで、映画のクライマックスについて。
最後の「誕生日会」のシーンです。

スホ母、スンナムは、息子がもう戻ってこない現実を直視したくないとか、
他の人たちとは分かり合えないとか、
いろいろな思いから、息子の誕生日会をずっと否定していました。

でも、予告編にあるように、スンナムは誕生日会に参加します。

スホの友だちたちも、スホの思い出を大事にしていて、
事件で生き残った学生たちの、その後の生きづらさを抱えていて、
他の遺族たちも、みんな悲しみを背負っていて・・・。

スンナムは、自分の悲しみは、
遺族同士でも、家族の間でも、完全には分かり合えない
と思っていましたが、誕生日会というのは、
自分ひとりだけが苦しいんじゃない、
みんなと悲しみを共有できる、というグリーフ・ケアの場でした。

観客は号泣ですが、
演じる役者さんたちも大変だったろうなと思います。
撮影は、少しリハーサルをしたあとに、ロングテイクで一度に撮ったそうです。
何度も撮り直しはできないですよね。

良い映画であるほど観客はつらい

『君の誕生日』のレビューをみると、とても評判がいいです。
しかし、興行的にはお客さんは期待したほど入らなかったようです。

「すごくいい映画で、見るべき映画だと思う。
でも、見るのはつらい」

ということのようです。

セウォル号事件の遺族を描いていますが、
大事な人を失ったときの悲しみを持つ人にやさしい映画で、
大事な人を失った人に、どう向き合えばいいのか、
教えてくれる作品だと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!

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