話題の映画『南山の部長たち』どこまで史実なのか

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2020年の韓国映画界は、アカデミー賞受賞作『パラサイト(寄生虫)』でもちきりでした。そんな中、この『南山の部長たち』でイ・ビョンホンは百想芸術大賞で「最優秀演技賞」を獲得。いや、ほんとにイ・ビョンホン、すごかったです。

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『南山の部長たち』

2020年1月公開(韓国)
1

監督:ウ・ミンホ
(「麻薬王」「インサイダーズ(内部者たち)」などの監督)

キャスト
キム・ギュピョン:イ・ビョンホン
(中央情報部長、朴大統領を暗殺した人)
パク・ヨンガク:クァク・ドウォン
(前情報部長、アメリカで内部告発して追われる身に)
クァク・サンチョン:イ・ヒジュン
(警護室長、強硬論で大統領に取り入る)
朴大統領:イ・ソンミン

あらすじ
パク・チョンヒ大統領の側近だったキム・ギュピョンが、
大統領を暗殺するにいたる40日間を描いた。

予告編
1

史実をもとにしたフィクション

歴史的事実を扱った映画は、
時代考証が正確じゃない
という批判を受けるので、
あえて映画冒頭に「フィクション」と明記したそうです。

登場人物は、ほぼ実在の人物ですが、
名前は変えてあります。

でも、朴大統領暗殺事件はあまりに有名なので、
すぐに見当がつきます。

主要人物3名
キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)→金載圭
パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)→金炯旭
クァク・サンチョン(イ・ヒジュン)→車智澈

そうすると気になるのが、どの部分がフィクションか
ということです。
韓国のナムウィキ(나무위키)に
実際の歴史との比較
がまとめてあったので、参考にしました。

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アメリカ聴聞会での暴露

パク・ヨンガク前情報部長がアメリカの聴聞会で
朴政権の実態を暴露したのは、
映画では、暗殺事件40日前
実際には、1977年(暗殺事件の2年前)

暗殺に至るまで、大小さまざまな要因があったわけですが、
2時間の映画にまとめるには、
要因を絞ってわかりやすくしなければならなかったため
とウ・ミンホ監督が説明したそうです。

映画ラストのUターン

暗殺に成功したあと、
キム・ギュピョン部長が
陸軍参謀総長を伴って車で現場を立ち去ります。
ギュピョンは、運転する秘書に
中央情報部に行くように命じますが、
参謀総長が陸軍本部に行くべきだと主張します。
ギュピョンは悩んだ末、陸軍本部へ行くことに決めました。

これは当時の参謀総長が語った事実だそうです。
陸軍を味方につけようと思ったそうですが、そうならず・・・。

この判断で、歴史が変わってしまいましたよね。

朴大統領との関係

映画では、朴大統領にとってキム・ギュピョン部長は、
ほかの部下たちと同列
という扱いでしたが、実際は、
格別に親しかったそうです。

さらに映画では、キム・ギュピョン部長は、
5.16革命(軍事クーデター)の仲間だったことになっていますが、
モデルになった実在の金載圭は、
クーデターに加担しなかったそうです。

暗殺の動機は?

映画では、
キム・ギュピョンが5.16革命に参加していた
というフィクションを作り、
大統領暗殺の最大の動機は、
5.16革命の目的を、朴大統領が裏切ったから
というように描いています。

しかし、実在のモデル金載圭は5.16に参加しなかった
とすると
映画が描いた「暗殺の動機」もフィクションになります。

暗殺の動機は、そのほかにも、
友達だった前部長を殺すことになったことや、
警護室長に対する怒りや、
アメリカからの圧力などなど、
複合的だったのでしょう。

映画と史実の違いは、
ほかにもいろいろありますが、とりあえず、
気になった部分だけご紹介しました。

韓国近代史で、最大の事件ともいえる
10.26事件。
政治的な立場によって、まだ評価が分かれています。

適度にフィクションを入れて、
2時間のエンターテイメントとして楽しめて、
さすがだなー、という仕上がりです。

よろしかったらお願いします!

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!

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