映画『野球少女』派手さはないけれど地味に感動する

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派手なアクションとイケメンとのロマンス、最後はあり得ないどんでん返しによるハッピーエンド・・・という韓国映画が多い中で、『野球少女』は地味です。

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『野球少女』

2020年6月公開(韓国)
1

監督:チェ・ユンテ
(長編映画デビュー作)

キャスト
チュ・スイン:イ・ジュヨン
(プロ選手を目指す高校生女子)
チェ・ジンテ:イ・ジュニョク
(プロを目指していた野球コーチ)
イ・ジョンホ:クァク・ドンヨン
(スインの同級生男子)
シン・ヘスク:ヨム・ヘラン
(スインの夢に反対する母)

予告編
画像をクリックすると動画になります。
2

女の物語ではない挑戦物語

プロ野球選手を目指す女性の物語・・・
女性チームじゃなくて、男性チームの。
最初は、この無理な設定に、どういう展開になるのか不安でした。

魔球でも習得するのか???
男的社会を批判しまくるのか???

監督インタビューでは、
最初は女性の物語にしてフェミニズム的なものにしようと思っていたが、
映画を作りながら、普遍的なメッセージを伝えることになった
と話していました。

普遍的なメッセージとは。

夢に向かって挑戦することをあきらめない。

チュ・スインはずっと、
やってもいないのにどうしてダメだというの?
と繰り返し問いかけます。

俳優イ・ジュヨンの魅力もありますが、
応援せずにはいられなくなります。

抗えない現実

映画では、スインの小中学生時代を描いていませんが、
かなり優秀な選手だったという設定です。

回想シーンすらなく、
新聞記事やちらりと映るメダル、周囲の会話でわかる程度です。

小中学時代、スインは野球の名選手として名を馳せた。
例外的に高校の名門野球チームに入れた。

でも、スインは終始、不機嫌そうです。

小中学校時代に強かったのは、
女の子は男の子より成長が早いから、
女の子の方が背が高かったり、
場合によっては力も強かったりします。

高校のチームに入れたのも、
珍しがられた、というのがあるのでしょう。

そういうことを、スインは全部理解しているようです。
なぜなら、

プロ野球への入団テストすら受けさせてもらえない、
周りの大人が口をそろえてプロ入団に反対するから。

今、直面している現実を考えると、
過去に強かったのは女子は成長が早いからで、
今は男女のフィジカルな違いは超えられない、
ということを、理解しないわけにいかない・・・

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スインの強さ

新しく赴任してきたコーチのジンテに、
スインが自分の実力を見てもらおうとする場面。

剛速球を投げますが、打たれてしまいました。

ジンテは、
女性だから無理だと言っているのではない。
実力が足りないのだ。
と言い放ちます。

スインはショックを受けますが、
意外とさっさと立ち直り、球速を上げる努力を続けます。

この場面で、
高校チームに入ってから、スインは
こういうことの連続だったのだろうなあ
と伝わってきました。

魅力的な提案

周囲の大人たちは、決してスインに冷たいわけではありません。
学校の先生は、いろいろ提案してくれました。

ハンドボール選手への転向
女子野球チームの国家代表

決定的なところでは、
プロ野球球団のプロント(広報担当)

ハンドボールや女子野球なら、
スインはトップクラスになれるでしょうし、
プロ野球にこだわるなら、球団で働けるだけでも
夢がかなったと言えるでしょう。

でも、スインは首を振りました。

私がなりたいのは、プロ野球選手なのだ
と。

やってみなきゃわからない。
挑戦させてくれ。

思わず、
若いってこういうことだと、うるっとしました。

変わらない厳しさ

そういうスインの「強さ」が、
周りを変えていきます。

最終的に、入団が許可されました。
でも、ユ・ジェミョンの最後のセリフ。

これからが大変ですよ。
앞으로가 더 힘들겁니다.

まさにそうでしょう。
球団の男性選手たちから邪魔者扱いされたり、
球団のファンたちから歓迎されないかもしれないし、
試合に出られる可能性も低いし、

それでも、スインのセリフ

やってもみないのに諦めない
전 해보지도 않고 포기 안 해요.

いい映画でした。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!

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コメント

    • 富田 顕一
    • 2021年 5月 23日

    石田様

    以前に一度、「野球少女」の中で、主人公が学校長から勧められたスポーツの種目が、ハンドボールではなく、ソフトボールではないでしょうか、と書いた富田と申します。たまたま今、吉祥寺の映画館「アップリンク吉祥寺」で「野球少女」を上映しているので、そのことも確かめたく、観てきました。その結果、石田様の書いておられた通り、校長は「ハンドボール」を勧めるよう、コーチに指示していました。私はてっきり、野球に近いソフトボールを勧めたものと思い込んでいました。早とっちりでコメントを書いてしまい、大変申し訳ありませんでした。

    今日、改めて「野球少女」を観て、良い作品だと再認識しましたが、何故ハンドボール?と、ここだけはよくわからないままです。

      • sokjon2016
      • 2021年 5月 23日

      富田さま
      コメントありがとうございます!
      2度目、ご覧になったのですね。
      私は恥ずかしながらスポーツの知識がないので、
      ソフトボールもハンドボールも「球技」として頭の中で処理されてしまい、
      特に疑問をもちませんでした。
      ご指摘をうけて改めて考えてみると、野球とハンドボール、かなり違いますね。
      おそらく、韓国内でプロリーグがあるとか、韓国チームが世界大会に出られる水準だとか、
      スインが活躍できる条件がそろっていたのではないでしょうか。
      私の勝手な推測ですが・・・。

    • 富田 顕一
    • 2021年 3月 19日

    ハンドボールでしたっけ?ソフトボールと私は思っていました。

      • sokjon2016
      • 2021年 3月 19日

      富田さま
      コメント、ありがとうございます。
      ソフトボールでしたっけ??と思って、
      韓国のレビュー動画やレビュー記事などを検索してみたら、
      やはりソフトボールへの転向だったようです。
      確かにソフトボールのほうが説得力ありますよね。
      なぜハンドボール?と思いますが、
      単に身体能力的に活躍できるという判断でしょうか。

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