日韓合同作品『外地の三姉妹』@神奈川芸術劇場、見てきました
演劇の世界では、比較的むかしから日韓の交流があったと思いますが、神奈川芸術劇場という大きな劇場に韓国語のセリフが響くとは、やはり「時代は変わったなあ」と思ってしまいました。
日韓合同作品『外地の三姉妹』
神奈川芸術劇場大スタジオ
2023/11/29(水)~2023/12/10(日)
翻案と脚本は、韓国の劇団「第12言語演劇スタジオ」芸術監督である
ソン・ギウン
演出は、「東京デスロック」主宰の
多田淳之介
チエーホフの『三人姉妹』は、
時代はロシア革命(1917年)を前にした1910年あたり、
舞台は帝政ロシアの田舎町で、
軍人一家の3人姉妹が、モスクワに帰りたいわ~と
望郷の念を募らせる物語です。
『外地の三姉妹』では、
時代は日本の敗戦前の1930年、
舞台を植民地朝鮮に移し、
軍人を父に持つ3姉妹が、東京に帰りたいわ~と
望郷の念を募らせる物語に変わっています。
日韓の俳優さんたちが出演し、
日本語・韓国語、そしてエスペラント語も使われます。
韓国語やエスペラント語の部分は、スクリーンに字幕が表われます。
↓劇場入口のポスター
ざっくり感想
長女は学校の先生で、優しいしっかり者ですが、
朝鮮人のお手伝いさんに対して、差別感情が見えます。
次女は最初から差別感情を表していて、
結婚しているけれど、不倫します。
無邪気な三女は、朝鮮人を父に持つ朴と
エスペラント語で会話ができたが、
最後はエスペラント語を忘れてしまう。
長男は、朝鮮人女性と結婚しますが、
賭博に明け暮れ、妻への不満をもらし、
結局、家を抵当に入れてしまいます。
他にも、三姉妹の家に居候する男たちは、
日本語を理解しない朝鮮人を見下したり、
朝鮮語をけなしたり、
朝鮮人のお手伝いさんの身体を触ったり。
これらの言動や行動を不愉快に感じるのは
「現代」の見方であって、
1930年当時は、「そういうものだった」のでしょう。
こういう歴史を振り返る作品を見ると、
今の時代にもある「そういうものだから」というものに
気が付くきっかけになります。
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日韓合同作品だからこそ
日韓合同作品であるお陰で、
朝鮮人の役を韓国人俳優が演じるので、
流暢な方言の朝鮮語セリフによって、
差別されている人々にも
「生活」があり「事情」があり「感情」があると、
しっかり伝わってきました。
ラストシーン。
日本人たちが一人ずつ消えていき、
後に残った朝鮮にルーツをもつ登場人物たちが、
舞台のセットを片付けていくと、
地面から太極旗の模様がはっきり見えてきます。
もしかしたら、今までもセットの合間から
見えていたのかもしれません…。
登場人物たちが、太極旗の周りを
民族音楽に合わせて踊って終わるのですが、
きっと、
鎮魂と再生の意味が込められているのでしょう。
もとの作品、
チエーホフの「三人姉妹」
昔、舞台で見たような見ていないような
という程度で、あらすじもおぼつかない状態でしたが、
『外地の三姉妹』を鑑賞するうえでは、
まったく支障ありませんでした。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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