映画『バトル・オーシャン/海上決戦』日本では上映されなかった観客動員数歴代1位の作品
観客動員数1760万人、歴代1位の作品ですが、日本では上映されずDVD発売だけです。DVDを見てみましたが、「なぜこれが歴代1位??」というのが正直な感想です。
キャストとあらすじ
監督:キム・ハンミン
チェ・ミンシク:李舜臣将軍
リュ・スンリョン:来島通総
パク・ボゴム:ぺ・スボン
クォン・ユル:イ・フェ
キム・ミョンゴン:藤堂高虎
あらすじ
1597年、秀吉は朝鮮へと侵攻。朝鮮軍はイ・スンシン(李舜臣)将軍に戦況の挽回を命じる。わずか12隻の船で、みごと日本軍に勝つまでを描いた。
感想
勝ち目のない戦いを前に、李舜臣側の兵士の裏切りで亀甲船は燃えてしまうし、その他の兵士たちも戦う気力を失ってしまう。
李舜臣自身も、若くないうえに傷ついている。
そういう逆境の中で、日本軍に勝つための作戦とは!!!
という李舜臣の知将っぷりが描かれているのかと思いきや、
恐れを勇気に変える
死を恐れぬ者が生き残る
という精神論・・・だけでした。
日本軍の残虐さと、日本軍vs朝鮮軍という構図も、
歴史的な事実だから仕方がありませんが、
それをあえて映画の素材にするのは、残念ながら
やはり「反日」という雰囲気を作りたいのか、という意図を感じます。
映画製作の背景
大して良い作品とは思えないのに、なぜ大ヒットしたのか、
韓国でのレビューをいくつか見てみると、こんな記事がありました。
2017年1月16日のハフィントンポストです。超要約です。
「バトルオーシャン」の映画制作会社CJエンターテイメント社について。
朴槿恵大統領が2014年11月末、ソン・ギョンシクCJグループ会長に、「CJの映画・放送事業が政治的に偏向している。方向を変えろ」と直接要求したことが確認された。
ソン会長は「申し訳ない。方向を変えよう」と「和合」したという。
パク・ヨンス検事の特別捜査チームによると、朴大統領は2014年11月27日午後、ソウル・サムチョン洞にソン会長を呼び、「CJの映画は素晴らしいので、方向を変えれば国益になる」と圧迫し、政権批判的なコンテンツ生産を中断し、友好的なコンテンツを作るよう要求したという。
これに対しソン会長は、「映画やドラマを制作する人々の中に偏った人がいたので、すべて整理した。今後は方向が変わるだろう」と答えた。さらに「私たちは「鳴梁(バトルオーシャン)」のような国益を優先する映画を作っている」と朴大統領の気持ちに答えた。
CJはその後「国際市場」「仁川上陸作戦」など「愛国主義」と批判される映画を続けて発表した。朴大統領は2015年1月「国際市場」試写会に参加した。
朴槿恵は2013年2月に大統領に就任しました。
「バトルオーシャン」の製作は、2013年1月から7月。
朴槿恵政権を大きく揺るがしたセウォル号事件が2013年4月。
「バトルオーシャン」の公開が2014年7月30日。
「国際市場」は2014年12月
「仁川上陸作戦(邦題:オペレーション・クロマイト)は2016年7月。
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観客動員の手法
「バトルオーシャン」の公開後、
スクリーン独占問題が批判されました。
どこの映画館に行っても、この映画ばかり。
また、観客動員1位のほかに、上映期間の長さも1位だそうです。
しかも65歳以上は無料というサービスもあったとか。
観客数を増やすためのあらゆる戦略が使われた・・・そうです。
パク・ボゴムも出演
出演者に、パク・ボゴムの名前があるんですね。
日本軍に父親を殺されて、李舜臣の船に乗ることになった青年。
パク・ボゴムと言えば涙。
一瞬しか出ないし、パクボゴムを出したいから作った役かしら、
とも思えなくもないけれど。
観客動員数1位といっても、作品が素晴らしいからというわけではなかったんですね。「韓国の大ヒット映画」で名前が挙がるのは、
「ベテラン」、「10人の泥棒たち」、「弁護人」などで、どうりで「バトルオーシャン」の名前がでないわけですね。
良質な映画が「バトルオーシャン」の記録を塗り替えてほしいです。
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皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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コメント
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「鳴梁」地元の大手の映画館で観ましたよ・・。
韓国の映画館では、日本軍がやられるたびに喝采が起こったと聞き、興味津々でした。大画面の大迫力、チェ・ミンシク他役者さんも勢ぞろいで豪華。
イ・スンシンのかっこいい戦闘指揮ぶりを見たかったのと、実物大の亀甲船、実際の多島海の風景を見たかったのですが。
映画の感想は・・・希薄です・・・
昔ハワイ真珠湾攻撃の映画をみて、やったやったと拍手が起きた その場面がかぶってしまいました・・・
ponさま
「鳴梁」、劇場公開していたんですね。
役者さんはよかったんですけどねえ。
イ・スンシンも、精神論でふっきってしまいましたし。
観客動員数歴代1位の地位を、はやく他の映画に代わってほしいです。
それにしても、政権が変わると、作られる映画がこんなにも変わるのかと、
最近のヒット作、「タクシー運転手」や「1987」をみながら感慨深いです。
いずれにしろ、「鳴梁」をみて、観客動員数と映画の質は比例しない、
ということがわかっただけでも収穫でした。