『ドクターX』第6話と7話、光州事件を扱ったエピソードいろいろ

『ドクターX』第6話で光州民主化闘争のエピソードを扱ったことで、「放送中止」が求められるほどの論争がありました。翌週の第7話でこのエピソードが完結したので、放送中止を要求する側が根拠としてあげた「医療ドラマに光州エピソードは必要ないはず」について考えてみました。
ネットフリックスで配信中の『ドクターX~白衣のマフィア』
キャストやあらすじ、予告編などは前回、紹介しています。
↓
『ドクターX』に見る光州事件エピソード
第6話で、
1980年の光州民主化運動弾圧事件において、
銃弾の破片が頭に残っている患者の治療が持ち上がります。
手術を担当する主人公らが、患者に会いに光州へ行くのですが、
光州市内で乗ったバスが
518番バス
戒厳軍が市民に向けて発砲した5月18日を象徴する番号です。
この番号のバスは実際に存在するそうです。
そのバスで向かった
国立518民主墓地の前景が映し出されます。
私が1990年ころに光州を訪問した時には
518犠牲者のお墓は
望月洞 망월동 マンウォルドン
にありました。
1997年に現在の場所に移され「国立」墓地になりました。
1992年に盧泰愚(軍人)から金泳三(文民)に
政権が変わって、本当に世の中が変わったんですね。
6話のエンディングは、
光州事件の責任者、当時の軍トップにいた
全斗煥 전두환 チョン・ドゥファン
が倒れて、病院に運び込まれる場面です。
ドラマでは、
지두석 チ・ドゥソク
という名前ですが、全斗煥のトレードマークである
禿頭
が強調されていて、見ればその人物とわかります。
事件の犠牲者が病院の屋上から飛び降りようとするとき、
ヘリコプターで事件責任者が登場する。
ヘリコプター銃撃で家族を失い、人生を失った被害者のもとに
その責任者がヘリコプターでやってくる。
ほんとうにおぞましく、残酷で衝撃的な場面でした。
7話で、1980年当時のヘリコプター銃撃場面が描かれます。
ドラマでは
광일빌딩 クァンイルビルディン ですが、
実際には
전일빌딩 チョニルビルディン 全日ビル
新聞社と放送局がはいっていた建物です。
現在は、
전일빌딩245 チョニルビルディン245
として、518民主化運動を記憶する施設になっていて、
見学可能です。
ちなみに245という数字は、
建物の住所、錦南路245と
確認された銃弾の痕跡245か所
二重の意味があります。
(その後、銃弾の痕跡はさらに発見されています)
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ドラマと光州事件の関連
放送中止を求めた側は
ドラマの流れと関係なく恣意的に518を扱った
と主張していますが、
6話と7話を見ると、
主人公のトラウマと518犠牲者のトラウマ
自分のせいで大切な人が亡くなった、助けられなかった
が重なり、
トラウマの克服というテーマが浮かび上がります。
社会的・政治的事件が個人の人生に及ぼす影響
それを利用する人々のせいで、増幅する苦痛
悲しい事件を継承し、犠牲者を記憶すること
医療もこれに無関係ではないこと
放送中止論争があったので、
6話7話について、深く考えることができました。
ラストのカラオケで流れた歌
7話の最後に、失踪した手術を受けた患者を見つけたのが、
カラオケ屋さんでした。
そこでチャン所長が入力した歌が
바위섬 バウィソム 岩の島
光州出身のキム・ウォンジュンが歌うこの歌は
報道規制がされ、光州で何があったのか報道されず
孤立してしまった光州のことを歌ったと言われています。
파도가 부서지는 바위섬 인적없던 이 곳에
波が砕ける岩の島 人気のないこの場所に
세상 사람들 하나 둘 모여들더니
人々が一人、二人集まったのに
어느 밤 폭풍우에 휘말려 모두 사라지고
ある夜 嵐に巻き込まれみんな消えて
남은 것은 바위섬과 흰 파도라네
残ったのは岩の島と白い波だけだ
ドラマでは一番若いパクインターンが
マイクを握って歌っていました。
ドクターXと仲間たちは、光州に寄り添っている
というメッセージでした。
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