『ヒーラー』最終回は視聴率最下位だった、それでも高く評価される理由

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ドラマが始まった当初は「同時間帯視聴率1位」と人気だった『ヒーラー』が、最終回では視聴率最下位だったそうです。では視聴率1位のドラマは何だったのでしょう。

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同時間帯ドラマの視聴率

『ヒーラー』最終回の視聴率は9.0%だったそうです。
SBS『パンチ』は11.9%で月火ドラマの1位を記録し、
MBC『輝くか、狂うか』は11.0%で2位。

『パンチ~余命6か月の奇跡』

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写真:KNTVより

イ・テジュンを検察総長に仕立て上げたパク・ジョンファンは、栄光への道を歩み始めようとしたその瞬間、自分が悪性脳腫瘍で、余命6ヶ月という事実を知る。
道徳と正義より権力の風向きを見て判断し行動してきたパク・ジョンファンを、正義で癒そうとする女性が現れた。

というお話だそうです。
こちらも社会の悪と戦うドラマだったようですね。見てみたい。

視聴率はとれなくても

『ヒーラー』の視聴率に関するニュースを見ると、
それでもドラマが放送されると、ネット上には
「ドラマで廃人になると聞いてはいたが、まさか自分が」
「ヒーラーの楽しみだけで生きている」
という声があふれ、「チ・チャンウク」が検索語の1位にあがるなど、
視聴率と、実際の反応はリンクしていなかったそうです。

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では、視聴率が思わしくなかった原因はというと、
最初から見ていない人には分かりずらいストーリーだった
ということではないかと分析されています。

放送終了後のレビュー

韓国「オーマイニュース」(市民参加型のネットニュース)にあった
『ヒーラー』のレビューです。とても共感しました。
ざっくり要約してご紹介します。

ソン・ジナ作家の言いたかったこと

「砂時計の作家が戻ってきた」という宣伝文句で始まったソン・ジナ作家の「ヒーラー」。ソン・ジナ作家は、「砂時計」で始まったわれわれ世代の悲劇を、その当時の世代とその後の世代がどのように解いていくべきかをテーマにした。

そして「砂時計」では、社会的正義に目覚めた若者を演じた俳優パク・サンウォンが、「ヒーラー」で立身出世のために友達の死に目をつぶり、さらにはそれを利用するキム・ムンシクとして登場したように、1980年世代の光と影をしっかり見つめている。

「砂時計」で正義派検事だったパク・サンウォン
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時代的な問題

「御大」に象徴されるこの社会の構造的な悪の実態を作家は告発する。
1980年、銃で武装した姿で現れた悪は分かりやすかった。
その当時、権力に抵抗した若者たちには熱気があった。
しかしその後、悪は「資本」で武装し、政界・産業界、言論までも浸食している。

無力感の前で

構造的悪の象徴「御大」は、政財界まで掌握して無敵の力を持っている。
絶大な権力の不正を知り、さらに身の危険を感じても、
権力の前に私たちは無力感しかない。

ソ・ジョンフらに代表される若い世代は、個人的な問題にばかり目を向け、
社会的問題に関心をもたない。

キム・ムンシクの弟キム・ムノ(ユ・ジテ)に代表される1980年以降の世代は、ドラマの中でソ・ジョンフが言っているように、
「考えてばかりいて実際には何もできない存在」
だったことを指摘する。

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我々はどうやって戦えばいいのか

ソン・ジナ作家の解決方法は、世代間の「連帯」だ。
それには、まだ当時の熱情を失わずにいる大人たちがまず立ち上がるべきだという。
刑務所から出てきたキ・ヨンジェが、将来を思ってソ・ジョンフをヒーラーに育てたように。

連帯の可能性

孤独に包まれ金儲けで気を紛らわすソ・ジョンフと、
記者になるという漠然とした使命感をもつチェ・ヨンシンが出会い、
お互い、思いもよらぬ親世代からの負の遺産を知り、苦悩する。

お金であれ仕事であれ、個人的理想のために生きている若者世代が、
偶然抱えたように見える悩みや苦悩は、実はこの社会の構造的問題に根ざしている
ということを作家はソ・ジョンフとチェ・ヨンシンを通じて伝えている。

キム・ムンシクの愛を決して受け入れられなかったチェ・ミョンヒ(ト・ジウォン)は、80年代の自由言論の一人。
ハッカーのチョ・ミンジャ(キム・ミギョン)は、公的権力への敗北という後悔をもつもと刑事。

このように「社会への目」をもつ大人たちが、自らの既得権を越えて、
ソ・ジョンフやチェ・ヨンシンのような若者世代と手を取り戦うことができるということを、ソン・ジナ作家は強調する。

最終回、空港のシーン

最終回、御大の不正を暴露するするため、肩を並べて空港を歩く
ソ・ジョンフ、チェ・ヨンシン、キム・ムノ、チョ・ミンジャの姿こそ、
ソン・ジナ作家が言いたい「連帯」が実現した姿だ。

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また、サムデーニュースのチャン・ビョンセ(パク・ウォンサン)や、
刑事のユン・ドンウォン(チョ・ハンチョル)らは、
世の中は憂鬱で私たちの力は微弱だけれど、戦おうというときには
見方になってくれる誰かが存在するという、作家のメッセージである。

ドラマ『ヒーラー』の難点

悪の象徴や、各世代の象徴など、ドラマの行間を読み解く楽しさともいえるが、
読み解く「鍵」が分かりにくかった。

ソン・ジナ作家の作品に登場する「運命的愛」が、邪魔をしていたのかもしれない。
ソ・ジョンフとチェ・ヨンシンの愛は劇的でけなげだが、それに目を奪われ
作家が言いたい主題意識がぼやけてしまったと言える。

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しかし「悔いはない」とソン・ジナ作家は言っている。
「砂時計」で始まり、時代的、歴史的責任感を大事にする作家は
「ヒーラー」を通じて、この時代ゆえの苦悩と解決方法を、ぶれのない視点で描いた。

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オーマイニュース、ドラマレビュー
イ・ジョンヒ 15年2月11日の記事をもとにして、
意訳、要約しています。

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コメント

    • 2016年 9月 22日

    はじめまして。
    ヒーラーに関するサイトを検索していてこちらに来ました。
    1年ほど前から、遅ればせながら韓国ドラマにはまっています。「シンイ」で韓国ドラマにはまったので、ソン・ジナ先生の作品ということでヒーラーを楽しみにしていたのですが、最近、契約している動画配信サービスで配信がはじまり、すっかりはまってしまいました。
    チ・チャンウクがカッコよすぎることもありますが、ストーリーも面白いのに、どうして視聴率がいまいちだったのか不思議でした。この記事を読ませていただいて、とても納得できました。
    私も1回目は切ない2人の恋愛模様に集中してしまってました^_^; 2回目は時代背景がわかり、より堪能しています。ありがとうございます!

    20年前の大学時代、韓国語を少し勉強していました。(レベルはハングルが少し読める程度ですが・・・)いろいろ辛いことがあった時期に韓国ドラマに出会い、韓国語に再会しました。また、勉強し始めたものの、それはなかなか進まず、ドラマだけが癒しになっています。
    字幕なしで聞き取りたいし、シナリオも読みたいので、また頑張ろうかなと思い直しました!
    他の記事もいろいろ読ませて頂いています。
    こらからも楽しみにしています!

      • sokjon2016
      • 2016年 9月 22日

      碧さま
      コメントありがとうございます!
      私も韓国ドラマ歴はまだ浅く、仕事や生活と「ドラマ中毒」の両立に苦戦しているところです。
      韓国ドラマは、やはり主演の格好よさと恋愛模様がきっかけですよね。
      その後、社会背景や作者の主張が見えてくると、蟻地獄のように嵌ってしまいます。

      昔は(30年前)、生の韓国語に触れる機会がなかなかありませんでしたので、ユーチューブでタダで!韓国語をあびられるという今の環境は、まさにパラダイス!と感じます。
      ぜひぜひドラマで癒されつつ、韓国語にも慣れてください!!
      またぜひ、お越しくださいませ~。

    • sokjon2016
    • 2016年 7月 24日

    matchko88fujii님

    전에 386세대라는 말이 있었습니다.
    1990년대에 30대고 1980년대에 학생운동을 하고 1960년대에 태어났다는 사람들을 가리키는 말입니다.
    80년대의 민주화운동을 통해서 성취한 것도 많지만 희생,좌절,배신,변절이라는 이면도 있었습니다.
    그러한 복잡한 감정을 주인공을 둘러싼 사람들이 잘 표현해 줬다고 봅니다.

    드라마에서는 “악”을 이겨냈지만 현실은…
    남겨진 여운도 참 복잡하네요.

    감상을 보내주셔서 정말 감사합니다.

    • matchko88fujii
    • 2016年 7月 24日

    안녕하세요? matchko88fujii입니다.

    리뷰 문장에 덕분에 스스로도 잘 모르고 있었던 일인 ‘힐러’에 빠졌던 이유가 명확하게 됐어요.
    제일로서.주인공 두 명과 주위 사람들의 매력.
    제이로서.사회적 구조적 악을 간파하고 그 압도적 힘에 대항할 수 있는 방법은 무엇인지 분면히 지시하신
    작가님의 신념에 공감되는 일.

    이번에도 유용한 정모를 가르쳐 주셔서 감사합니다.
    앞으로도 선생남의 블로그를 많이 기대하고 있습니다.

    오늘도 제 서투른 문장을 읽어 주셔서 정말 감사합니다.

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