今さら『哭声/コクソン』見てみれば、それほど難しい訳ではなかった。

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猟奇的、オカルト、スプラッタ、難解、結論がない、などなど、「見たってしょうがないかな」と思うような感想ばかりが目に付いて、まったく見る気が起きませんでした。先日見た『サバハ』で、いろいろなところで『哭声/コクソン』が引き合いに出されるので、ようやくネットフリックスで見てみました。

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『哭声/コクソン』

2016年5月公開(韓国)
4
監督:ナ・ホンジン
キャスト
ジョング:クァク・ドウォン(警察官)
イルグァン:ファン・ジョンミン(祈祷師)
日本人:國村隼
ムミョン:チョン・ウヒ(謎の少女)
ヒョジン:キム・ファンヒ(ジョングの娘)

あらすじ
コクソン村で、家族間での殺人事件が頻発する。加害者は全身に発疹ができて、精神異常をきたすという。悪霊の仕業だとうわさされ、村の山奥に住む日本人に疑いの目が向けられる。そうしたときに、ジョングの娘にも異常が現れる。

予告編

聖書を下敷きにした作品

『娑婆訶(サバハ)』は、主人公が牧師で、
偽キリスト教をあばく
という主人公の仕事があったので、聖書と「事件」との結びつきが明白でした。


『哭声/コクソン』も、冒頭、次の聖書の文言が画面に出てきます。

ルカによる福音書24章38節
「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。
私の手や足を見なさい。まさしく私だ。
触ってよく見なさい。
亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見える通り、わたしにはそれがある。」

死から復活したイエスが弟子たちの前に現れた時、
亡霊が出てきたと恐れおののく弟子たちに向けて言ったイエスの言葉です。

ああ、なるほど、『娑婆訶(サバハ)』と『哭声/コクソン』が比べられるわけですね。

しかし、『哭声/コクソン』では、キリスト教や牧師は一瞬しか出てきません。
殺人事件の犯人は、山奥の日本人なのか?というのがメインなので。
物語と、冒頭の聖書の句が、どう結びつくのか・・・。

見たいものだけを見る人々

不可解な殺人事件について、
悪霊の仕業だとか、
日本人が怪しいという、噂話がとびかい、
日本人が赤い目をして襲ってくる夢を見ることで、
絶対、あいつが犯人だ
と決めつけてしまう。

ましてや自分の娘が「えじき」になってしまったと思えば、
娘を救うためにも「原因」を除去しようと躍起になる。

人間って、
見たいものだけを見て、信じたいことだけを信じて
信じたままに、そのように見えてしまうものなのだ。

映画の中だけでなく、観客たちも、同じで、
曖昧な結末について、十人十色の「解釈」がネットで飛び交っているように、
日本人が悪霊だと思えば、そう見えてくるし、
少女が救世主だと思えば、そう見えてきます。

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聖書からの引用

國村隼が演じる「日本人」を追ってみると、
俺が何を言っても、信じないだろう?
と「信じてもらえない異国人」で、

彼を疑う村人たちによって、殺され、
でも死んでいなくて、
開いた手のひらに、穴が開いていた。

おお!これって、まさにイエスじゃないか。

そして謎の少女の最後のセリフも、
悪霊にわなを仕掛けた。罠が成功したら、鶏が3度鳴く。

これも、
マタイによる福音書26節34節
あなたは今夜、鶏がなく前に、3度わたしのことを知らないというだろう。

イエスが処刑される前に、イエスが弟子のペテロに言った言葉を思い出させます。

イエスはイスラエルの人々から見たら「ナザレからきたよそ者」でした。
苦楽をともにした弟子たちにも、王の迫害を受けると「知らない」と言われ、
死からの復活についても、なかなか信じてもらえませんでした。

冒頭の、ルカによる福音書24章38節
「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。」
と一緒に考えると、

牧師さんですら、悪魔に違いないという思い込みから、
イエスが悪魔に見えてしまう、という解釈もできるように思います。

私が信じたい解釈

日本人と、祈祷師と、怪しい少女と、
これらのうちの誰が、悪霊だったのか、という話ではなく、
みんなコクソン村を救おうとしてくれていた、と信じたいです。

カラスにしても、蛾にしても、まじないの花にしても、
その現象自体に善も悪もなく、
不吉だと思えば不吉に見えるし、
救いの知らせだと思えば、そう見えないこともない。

キリスト教が強調しているものに、
隣人を愛せよ
というのがあったはず。

日本と韓国は、隣国です。
怪しいと疑い始めると、敵に見えるし、
お互いが悪魔にしか見えなくなってしまいます。
でも、その逆もあるはず。
友だちだと思えば、友だちに見えるし、友だちになりうるはず。
という希望を逆説的に描いた映画だと、解釈したいです。

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