映画『世宗大王 星を追う者たち』期待以上に面白かった

moon-3591570_640

シネマート新宿で『世宗大王 星を追う者たち』を見てきました。韓国での評判がなかなか良かったので、期待していましたが、期待以上に良かったです。

スポンサーリンク

『世宗大王 星を追う者たち』

2019年12月公開(韓国)
7 (4)

監督:ホ・ジンホ
(『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』の監督)

キャスト
世宗:ハン・ソッキュ
(ハングルを作った朝鮮の王様)
ヨンシル:チェ・ミンシク
(天体観測器を作った天才技術者)

あらすじ
中国(明)の影響下にあった時代、世宗は独自の暦と文字を作り、朝鮮の自立を模索していた。
しかし、明の怒りを恐れる臣下との対立が激化し、世宗は「自立」と「ヨンシル」を守るために疲弊していく。
そういう中で世宗を載せた輿が大破する事故が起きる。事故の真相とは…。

予告編

7 (2)

ちなみに、韓国語のタイトルは、
천문 チョンムン
漢字で「天文」かと思いますが、

副題が
하늘에 묻는다
空に問う

漢字で「天問」と書いても천문チョンムンと読めます。
なかなか気が利いたタイトルです。

韓国での評価

韓国でも好評だったのですが、
映画大国・韓国にあって、観客数200万で止まってしまい、
残念ながら興行的には失敗・・・
(観客数1000万というメガヒットを数多く生む韓国)

レビューを見ると、

ハン・ソッキュとチェ・ミンシクの
ブロマンス(ブラザー・ロマンス)

という声が多く、
科学(天文)の話なのに、過剰に情に訴えてくる
という批判も多少あったようです。

中でも、ハン・ソッキュのカリスマ演技への称賛!
もともとスゴイ俳優さんではありますが、

ヨンシルを大事に思うまなざし
疲弊しきった生気のない顔
炎が見えるほどの怒りの発声

数々のレビューに「鳥肌立った」とありましたが、
実際に、私も鳥肌立ちました。

スポンサーリンク

史実を基にしたフィクション

世宗大王も、蔣英実(チャン・ヨンシル)も実在の人物で、
ヨンシルが作った王の輿が大破したのも事実で、
そのために、不敬罪に問われ、むち打ちの刑を受けたのも事実。
同じ時期に世宗がハングルを創製したのも事実。

1442年:チャン・ヨンシルがむち打ちの刑
1443年:ハングルが完成

このタイミングを見ると、
世宗は「ヨンシル」を失い「ハングル」を手にした。
朝鮮独自の暦もハングルも、明を恐れた臣下たちが反対していたもの。

ここから、
ヨンシルが作った輿がなぜ大破したのか。
という謎に対して、大胆なフィクションが生まれました。

世宗がヨンシルを救うためにウソをつき、
ヨンシルは世宗の夢を救うためにウソをついた。

もう涙しかありません。

世宗大王を演じるハン・ソッキュ

ハン・ソッキュの世宗大王!!??
ドラマ『根の深い木』をこよなく愛する私は、
もう、この映画への期待値がマックスでした。

『根の深い木』のレビューシリーズ
公式予告編

9 (2)
『根の深い木』は、ハングルを作り上げるまでの苦労と葛藤の物語です。

臣下たちが、なぜハングルに反対するのか、
民衆がちが自由に使える文字を持つことが、なぜ脅威なのか、

とても丁寧に描かれていました。
ミステリー仕立てなので、フィクション度が高いですが。

映画『星を追うものたち』で重要人物である
チョ・マルセン
10 (4)

『根の深い木』でも、重要人物です。
彼の「拷問上手」が両方の作品に出てきます。

父イ・バンウォンの影

映画で、世宗が父親イ・バンウォンの衣装を着る場面があります。

血塗られた王衣
です。

世宗の父イ・バンウォンといえば、
『六龍が飛ぶ』(レビューシリーズ

イ・バンウォンが、権力を手に入れるまでに流した血
その気質(血)を、世宗も受け継いでいる・・・。

映画『星を追う者たち』の一番も見せ場でもあります。
イ・バンウォンがどういう人が知らない人でも、
ハン・ソッキュの演技に、十分圧倒されると思います。

歴史ドラマのだいご味

世宗大王は、他にもたくさんのドラマや映画がありますが、
私のベストは「根の深い木」です。

世宗ほどではありませんが、
チャン・ヨンシルも、ドラマや映画があります。
私のベストは「ポンダンポンダン」でしょうか。
9 (4)

受験を控えた女子高生が、世宗の時代にタイムスリップし、
受験勉強で得た知識(ピタゴラスの定理など)を使って、
なんと、水時計を開発!!
世宗から褒美にもらった名前が「チャン・ヨンシル」…

という「トンデモ」フィクションなのですが、
女子高生:未来から
ヨンシル:奴婢から
という「外部」から宮廷に入ってきて、

世宗に愛され、臣下たちの反感を買う、
という大筋が一致しているところがスゴイです。

歴史ドラマは、その歴史の人物を描くので、
作品ごとに異なる人物像、
俳優ごとに異なる人物象、
を、味わう楽しみがありますね。

よろしかったらお願いします!

韓国語ランキング

自己紹介はこちら

最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!

スポンサーリンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメント

    • pon
    • 2020年 10月 11日

    世宗大王のドラマはたくさんあり、ごちゃごちゃになりそうです。思い返して整理中です(笑)
    「チャン・ヨンシル」ソン・イルグク主演も次々と出てくる発明にびっくりでした。
    これもベストのドラマ「鄭道伝」(根の深い木繋がりでみました)も混ざってしまい・・・

    「根の深い木」で需生の研究所集賢殿が気になって、原作読みました。ドラマではハン・ソッキュ扮する世宗の奮闘ぶりが中心でしたが。
    そして今回の「世宗大王・・」でも、ハン・ソッキュの世宗。彼の演技はもう神でしたね。疲れ切って倒れそうな世宗に、あれ?この事件で亡くなっちゃったけ?と一瞬戸惑いました。この後 あの偉大なハングル創作。
    世宗大王が国民の尊敬を一身に受け、景福宮前に大きな銅像が鎮座するのもうなずけます。

    キム・スルギ 可愛いでした。もっといろいろ出演してほしいです。
    日本では「アシガール」という同じようなタイムスリップ物のコミックがNHKドラマ化され好評だったようです。

    「ブリングミーホーム」 韓国では誘拐とか虐待を見据えた「トガニ」「幼い依頼人」など実話を基にした秀作が上映されていますね。日本でも表面に現れないだけで、誘拐 人身売買 虐待が増えているのでしょうか?
    それにしても 「親切なクムジャさん」といいブリングミーホームといい、イ・ヨンエの身体を張った格闘技にはびっくり仰天。「楚々とした美女」のレッテルを貼られたくないです!のオーラがすごいです。
    「ブリングミーホーム」感想お待ちしています。

      • sokjon2016
      • 2020年 10月 11日

      ponさま
      「根の深い木」の原作を読まれたんですね!!
      どうなんでしょう、原作に忠実なんでしょうか。
      この映画の予告を見た時、ハン・ソッキュが、また世宗大王を演じるのかと驚きました。
      異なる作品で同じ人物を演じるって、難しいでしょうが、ハン・ソッキュ、さすがでした。

      本当に、同じ素材のドラマや映画、ごちゃごちゃになりますよね(笑)。
      最近、記憶がぜんぜんもたなくて、同じ素材じゃなくてもすぐ忘れてしまいます。
      ブリングミーホーム、疲れそうだな、と敬遠していました。
      見て見ますね。

    • pon
    • 2020年 10月 10日

    お久しぶりです。
    コロナ自粛で映画館が閉鎖されたりで、丁度見ようと予定していた映画を見損なったりと イライラの春でした。
    映画館再開してから 時間を見つけては韓国映画追っかけしています。(友人たちは 映画館なんてコロナが怖いからやめろ大合唱ですが)
    今日はイ・ヨンエ再動の「ブリングミーホーム」見てきました。「キムジヨン」も始まったし次々と控え楽しみです。
    「世宗大王・・・」見ました。「根の深い木」の登場人物たちと重なるので そうかこんな人だったのかと裏側から見る感じになったり。そうだそうだこの人だ・・と膝うって喜んでました。
    世宗とヨンシル、二人の、言葉にはしない思いあう心、親友、同志でしょうか。孤独だったろう世宗にヨンシルがいてよかった。ソウルの世宗会館で ヨンシルが作ったいろいろが復元展示されていますが、思い出したりしていました。
    輿が大破するのは実際の出来事だったのですね。うまく取り入れて。

    「根の深い木」もさることながら
    「ポンダンポンダン」もお好きと知り 
    大喜びしながら 書き込みました。わたしも両作品ベストです。
    ドラマ作りの丁寧さと濃さ、発想の新鮮さ、俳優陣のうまさに  引き込まれます。  

      • sokjon2016
      • 2020年 10月 10日

      ponさま
      お久しぶりです!
      そうなんですよね、映画やドラマをたくさん見れば見るほど、
      その時代の実在人物や、俳優さんが重なるので、
      同じ人物の描き方の違い、同じ俳優さんの演技力など、
      楽しみポイントが増えるんですよね。

      ポンダンポンダンは、市民講座の教材になったので見たのですが、
      キム・スルギが良かったですよね~。

      ブリングミーホームも、実際にあった事件をもとにした物語ですよね。
      まだ見ていなくて…。見たい作品がたくさんあって幸せです(笑)。
      コメントありがとうございます!!

  1. この記事へのトラックバックはありません。

2024年11月
« 10月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

カテゴリー

ページ上部へ戻る