最大の期待作『新感染半島 ファイナル・ステージ』は面白いのか
韓国での評価を見ると、そうとうヒドイ映画だとこき下ろされていたので、なかなか見る気がしませんでしたが、「娯楽映画なんだから何も考えないで見るといい」というレビューをみて、ようやく映画館に行ってきました。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』
2020年7月 韓国公開
監督:ヨン・サンホ
キャスト
ハン・ジョンソク:カン・ドンウォン
(元軍人で、姉家族を韓国から脱出させようとしたが失敗)
ク・チョルミン:キム・ドユン
(ジョンソクの姉の夫)
ミンジョン:イ・ジョンヒョン
(ゾンビに支配された韓国で暮らす女性)
ユンジュン:イレ
(ミンジョンの娘)
あらすじ
ゾンビ・パンデミックから4年、
ジョンソクとチョルミンは、韓国から逃れ、香港で暮らしている。
大金を積んだトラックを回収すれば謝礼がもらえるという話にのり、
廃墟と化した韓国へ乗り込むが・・・。
賛否両論
韓国で公開された2020年7月、すでにコロナ禍にあったので、
観客動員数380万というのは健闘した方でしょう。
この映画を「よかった!」「おもしろかった!」
という人々の感想を見ると、
カーチェイスの迫力
を挙げる人が多いですね。
それもそのはずで、監督が映画の構想を練っているとき
少女がゾンビを蹴散らしながら
車で疾走しるシーン
がまず頭に浮かんだといいます。
批判ポイント
私の感想は、賛否の「否論」に一票です。
映画の冒頭、カン・ドンウォンが姉家族と避難するとき、
車に乗せてくれと懇願する親子を無視する場面
は、非常事態にある人々の葛藤が伝わってきて、ちょっと期待しました。
4年前のガソリンなのに
でも、大金トラックを回収しに韓国に乗り込み、
すぐに放置車両に乗って走りだすシーン。
このシーンで、一気に気分が萎えました。
映画の設定、ゾンビで国が崩壊して4年後です。
4年前に乗り捨てられた車です。
なんで動くの???
ガソリンって4年ももつ?
昔、灯油のストーブを使っていたとき、
「前年のものは使わないように」とよく言われました。
崩壊した韓国で生き延びる人々(631部隊)は、
各地で放置されたインスタント食品などを集めて生きながらえているようですが、
もう一度いいます、
映画の設定、ゾンビで国が崩壊して4年後です。
防災用食品の賞味期限が長くて5年です。
インスタントラーメンの消費期限って
1年程度。
細かいかもしれませんが、
気になりだすと、映画に集中できないんですよね。
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カーチェイスの車
最大の見せ場、カーチェイスで、
少女が運転している車は、
ギア自動車のモハビ
ギアHPより
映画のレビューには
モハビのコマーシャルを見ている気分
というのも多くありました。
韓国のドラマや映画によくある
PPL プロダクトプレイスメント=間接公告
です。
映画の制作者イ・ドンハが、インタビューで
車の性能などからこれしかなかった。
車両の支援などを受けた。PPLだ。
と話しています。
ゾンビの特性
カン・ドンウォンたちが韓国に乗り込む前、
ゾンビは音に反応して集まってくる
という情報が与えられます。
それなのに、
韓国に乗り込んですぐ、車を運転する。
車が動く音でゾンビが集まってくるんじゃ?
とドキドキしましたが、寄ってきませんでした。
そして「感動の」ラストシーン、
ヘリコプターが着陸して救助する間、
ヘリコプターって爆音ですよね。
ゾンビが寄ってくるぞと
ドキドキしましたが、寄ってきません。
娯楽映画なんだから、細かいことは気にするな
といっても、これはさすがに、
ずさんでしょ!
と叫びたくなりました。
そう思うと、さらに気になることが出てきます。
映画の設定、
ゾンビにより1日で韓国が崩壊した
ゾンビ、そんなに強くありません。
しかも音に反応するなど
いろいろ特性が分かっているのだから、
1か所に隔離するとか、
手が打てるだろうに・・・。
映画のテーマ
ヨン・サンホ監督は、この映画について
포스트 아포칼립스는 인간성 보여주는 우화
ポスト・アポカリプスは、人間性を見せてくれる寓話
と語っています。
아포칼립스:apocalypsis(アポカリプス)
辞書を引くと「啓示」と出てきますが、
この場合は、「終末」なんでしょうね。
포스트 아포칼립스:ポスト・アポカリプス
ですから、
世の中が滅びた後の、
生き残った人々がどのような姿を見せるのか、
を描いていることになります。
収奪や、ゾンビ・ゲームなどの残虐性と、
そこから逃れようとする人々のヒューマニズム。
ヒューマニズムはたっぷりあったので、
まともだった人間が理性を失っていく過程
が、描かれていてほしかったな
と思います。
期待が大きかっただけに、
失望が大きく、文句ばかり並べてしまいました。
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皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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