イ・ジョンソク『あなたが眠っている間に』サブタイトルの映画について②
ドラマ『あなたが眠っている間に』のサブタイトルになっている映画とドラマの内容との関係を考えるシリーズです。シリーズその2です。
第1話から第5話までのシリーズその1は、こちらです。
第6話「ブラインドネス」
日本・ブラジル・カナダ合作、2008年の作品。
韓国語タイトルは눈 먼 자들의 도시「目が見えない者たちの都市」。
原作はジョゼ・サラマーゴの小説で、邦題は「白の闇」。1995年にポルトガル語(原題:Ensaio sobre a cegueira)で出版されているので、ポルトガル語→英語→日本語と翻訳されたらしいです。
街の交差点に止まった車の中で、何の前ぶれもなく突然目が見えなくなった眼科医がパニックに陥る。原因不明なうえに、彼に接触した者も次々と視界が白くなり、目が見えなくなっていった。感染病とされ、感染者は療養所に隔離されることになり、目が見えない状態で閉じ込められた人々は、暴力・略奪・殺人など人間の本性がむき出しになり…。
ドラマでは、弁護士ユボムが、カン・デヒという男から弁護を頼まれる。男は自動車事故を偽装して弟を殺害し保険金を取得していた。ユボムは、男から偽装殺人の告白を聞いたうえで無実を主張、検察側の調査の盲点をついて、無実を勝ち取る。無罪放免となったカン・デヒは、さらに妹をも殺害しようとする。
カン・デヒの残虐さが「人間の本性」ということでしょうか。映画では、眼科医の妻が一人、感染せずにすべてを目撃するのですが「人間の醜い本性」を知ったうえで、絶望するのか希望を見出すのか・・・という、かなりヘビーな内容のようです。
第7話「言えない秘密」
2007年の台湾映画です。韓国語:말할 수 없는 비밀(言えない秘密)。
音楽学校に転校して来た青年シャンルンは、ピアノ室で美しい曲を弾いていたシャオユーと出会う。瞬く間に恋に落ちる2人だったが、シャオユーにはシャンルンに言えない秘密があった。
ドラマでは、前回のカン・デヒ事件で警察官ウタクが負傷し、ホンジュとジェチャンが彼の身の回りの世話を新しながら、ウタクのちょっと謎めいた面を感じます。そして殺人事件が発生、その容疑者が、警察官ウタクの元ルームメイトのト・ハギョン。逃走中のハギョンは、ウタクの部屋に現れ「俺の無実を証明してくれ。じゃないとお前の秘密をばらすぞ」と脅し・・・。
ウタクの「言えない秘密」?ウタクが格好いいし、いい奴だし、その秘密のせいでみんなの元を去ってしまうという展開にはならないでほしいと切実に思います。
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第8話「プライドと偏見」
原作はジェーン・オースティンの小説「傲慢と偏見」。
18世紀末のイギリスの田舎町。5人の姉妹が母親と暮らすベネット家の近所に、資産家ヒングリーが引っ越してくる。女性の結婚事情と、誤解と偏見から起こる恋のすれ違い。
映画は「恋のすれ違い」ですが、ドラマは殺人事件をめぐる傲慢と偏見です。前回の続きで、警察官ウタクの友達ト・ハギョンが殺人事件の容疑者となります。被害者が国民的アーチェリー選手だったため「犯人憎し」の声が高まり、ト・ハギョンの過去の窃盗事件まで取りざたされ、ハギョンへの偏見は膨れ、傲慢な弁護士ユボムはほくそ笑む・・・。
第9話「ユージュアル・サスペクツ」
1995年のアメリカ映画。
麻薬密輸船の爆破事件や銃器強盗事件を仕組んだとされる「カイザー・ソゼ」という人物は、誰なのか、実在するのか、というトリッキーかつ巧緻な構成で描いたクライム・ミステリー。
ドラマは、ホンジュが「ジェチャンが交差点の信号を渡る前に黒い帽子の男に刺される」という予知夢を見る。犯人は、アーチェリー選手殺害事件で濡れ衣を着せられたト・ハギョンか?アーチェリー選手の熱烈ファンの仕業か?いや、選手の父親か?という複数の可能性から、犯人を探っていきます。
第10話「ボーイズミーツガール」
1984年のフランス映画で、白黒。
恋人フロランスに振られたばかりのアレックスはいつも悲しげなモノローグをパリの街に浮かべるような孤独な男。一方、どこか遠い世界で暮らしているミレーユも恋人ベルナールと喧嘩ばかりの日々。このまるで別の夢であるかのように遠い二つの世界は徐々に距離を縮めついに出会うことになるが…。
ドラマでは、ジェチャンが、昔であった「少年」が実はホンジュだったと分かり、喜ぶ。二人の父親は脱走兵によって殺され、脱走兵の兄が海に身を投げたときにジェチャンとホンジュがホンジュが助けたのでした。しかし、ホンジュは「犯人憎し」の怒りから、助けるための手の力を緩めた一瞬を今でも覚えていて、ジェチャンとの過去の思い出は「傷」なのだという。
映画はハッピーエンドにならないそうですが、ボーイとガールだった過去を乗り越えようとします。
第1話から第5話までのサブタイトルについては、こちら。
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2017年 11月 25日
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2020年 4月 16日
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