映画『弁護人』ソン・ガンホとイム・シワンに涙涙涙
久しぶりに映画館で肩が震えるほど泣きました。
キャスト
監督:ヤン・ウソク(これが映画デビュー作)
ソン・ガンホ:ソン・ウンソク(弁護人)
イム・シワン:パク・ジヌ(弁護される青年)
オ・ダルス:パク・ドンホ(弁護人の片腕)
キム・ヨンエ:パク・スネ(青年のお母さん)
クァク・ドウォン:チャ・ドンヨン(拷問する人)
公式HPより
クッパ屋のおばさん(イム・シワンのお母さん役)
映画「明日へ」にも出ていました。
拷問する人は、ドラマ「グッドドクター」のこの人。
あと、「ミセン」のオ課長も新聞記者役で出ていました。
あらすじと感想
前の前の大統領、ノ・ムヒョンの若いころの実話をもとにしたフィクションです。汚職疑惑で自殺したとされる元大統領なので、政治的だという偏見を持たれたにもかかわらず、大ヒットしました。
予告動画
時代背景
1979年に朴正煕大統領が暗殺され、民主化を期待した市民が立ち上がり、
1980年に光州で軍が市民を弾圧する事件がおこりました。
当時、民主化運動=政府に反対する人々=北朝鮮を利する
という考え方から、政府に反対するだけで国家保安法の対象となっていました。
それどころか「みせしめ」として関係ない人々まで不当逮捕がまかり通っていました。この映画でも、イム・シワンたちはただの読書会を行っていただけなのに「みせしめ」として逮捕されました。
当然、マスコミは政府の言いなりですから、一般市民の中には「民主化運動をする人はアカ」と信じている人も多くいました。
朝鮮戦争からまだ日も浅く、北朝鮮に対する憎悪や恐怖が強かった頃です。
「拷問をする人」も、
我々がこの国を守っているのだ。拷問によるでっちあげも「予防」のために必要なのだ
と本気で信じていたのでしょう。
80年代スタイルのイム・シワン
俗物から闘士へ
そういう時代でしたが、高卒で弁護士になったウソク(ソン・ガンホ)は金儲けにしか興味がありませんでした。
ところが、なじみの食堂の息子が「みせしめ」のため逮捕され、面会の場で息子のあざだらけの体をみて拷問をうけたと確信し、人権弁護士として戦い始めます。
当時も、信念を持って軍事独裁政府と戦っている弁護士も多くいましたが、相手は権力を持っている政府ですから、資格停止やら不当逮捕という攻撃にさらされます。
そういう経験から、正面衝突を避けて、小さな成果を重ねていくやり方を選ぶ人も出てきます。つまり、無罪を主張せずに量刑を減らしていくという戦法です。
ウソク(ソン・ガンホ)は闘いの経験がないので、戦法もクソもありません。
正面衝突=正論をぶつけていきます。経験がないからこそ、相手の強さをしらないからこそできることだったのでしょう。まさに、
子犬はトラを恐れぬといえます。
強大な権力に対して、
妥協しろという周囲に対して、
臆せずひるまず、戦い続けられるのは、もちろん、
相手の怖さを知らないからだけではなく、
法律家としての知識と、事実を突き止める手間を惜しまないこと。
こういう「当たり前の姿」が、感動的だったりします。
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映画のラストは1987年
クッパ屋の息子(イム・シワン)が逮捕されたのが1981年。この時からウソク(ソン・ガンホ)は民主化運動の中心メンバーになります。
デモ隊の先頭で機動隊と対峙する場面。
横断幕に종철아!とあります。「鐘哲よ!」です。
この文字で、1987年だということがわかります。
朴鐘哲はソウル大学の学生で、拷問によって亡くなりました。
クッパ屋の息子の裁判で、あれほどがんばったけれど、拷問はなくならず、
犠牲者がでてしまった・・・。
拘束されたウソクは、「朴鐘哲(パク・チョンチョル)君の追悼をしていた」と言っていました。
1987年。私は語学留学のためソウルにいました。
1月に、朴鐘哲が亡くなり、
6月に、朴鐘哲君の追悼集会で延世大学の学生李韓烈(イ・ハンニョル)が
催涙弾の直撃をうけて亡くなります。
闘いで犠牲になった人を「烈士(ヨルサ)」という称号をつけて呼んでいました。
パク・チョンチョル(朴鐘哲)ヨルサヨ!
イ・ハンニョル(李韓烈)ヨルサヨ!
連日、デモで二人の名前が叫ばれていました。
私のソウル留学の記憶に、刻み込まれている名前です。
私自身、1987年の民主化闘争を目撃し、同年代たちの話を聞き、
その経験が人生を変えました。
昔話ではなく
こういう映画がつくられるというのは、
これまで、世の中を正そうとして命を落とした人たちを忘れない、
そして繰り返さない、
ということなのでしょう。
昔と比べると、世の中は大きく変わったものの、
警察で行われる暴力や、警察やマスコミと権力との癒着など、
まだまだ、「今の課題」でもあります。
だからこそ、こういう映画に、
ソン・ガンホら大ベテランからアイドルまで出演し、
そして100万を超える観客が入る。
ということに、驚きつつ、うらやましく思います。
俗物へらへら時代のウンソク(ソン・ガンホ)
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまの韓国語の勉強に少しでもお役にたちますように!
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コメント
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2016年 11月 19日
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2016年 12月 17日
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2017年 2月 28日
はじめまして
韓国語学習歴4年のmomoと申します!
韓国映画やドラマ 料理や文化など韓国全体いろいろなものに惹かれ韓国語の勉強を始めました
偶然このブログを拝見し そしてなんと石田先生のブログであることが分かり とてもびっくりしました
先生の書かれたテキスト「韓国語リアルフレーズbook」「例文で覚える韓国語単語」は とても使いやすく愛用しています!何度も聞いて丸暗記しようと頑張っています!
今回は「弁護人」の映画を見て いろいろ思うところがあり 知れば知るほど魅力的な国だと ますますハマっています
機会があれば先生の講座を受けてみたいです
長々とすみません・・・
これからもブログ楽しみにしております
momoさま
コメント、ありがとうございます!
使っていただいている2冊は、特に苦労の多かったものなので、
特別にうれしいです。
今、韓国で起きていることを考えると「弁護人」、感慨深いですよね。
長い長い抵抗の歴史を経て、いったい何が変わったのかという無力感と、
それでも声を上げて犠牲者出さずに弾劾まで追い込めるという希望と、
ふうぅぅとため息が出ます。
一般の方対象の講座を開くときには、このブログでもお知らせします。
ぜひぜひいらしてください!
では、またブログにおこしくださいませ~。