ジブリが映画化を考えていたという小説『国境』を読んでみました。

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日本による植民地支配下の朝鮮に住む日本人青年が、日本の戦争の実態を知り、いろいろな選択を迫られるお話です。命がけの選択をするとき、「生きて、ここにある意味」を考えるのですが・・・。

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2018年8月20日の夕刊

東京新聞夕刊のトップ記事でした。
現物の新聞は、とっくに古紙回収に出してしまったので、
ネット記事を紹介します。
1

タイトル:幻の高畑戦争映画 ジブリ企画書、児童文学作家が原作

ジブリ映画に、それほど強い思い入れがあるわけではありませんが、
原作の小説のあらすじが、

映画の企画書によると、主人公は、現在のソウルにあった旧京城帝国大予科の日本人の男子学生。失踪した親友を捜すため、旧満州国の秘密警察に追われながら、謎の美少女とともに中国東北部やモンゴルの二万キロを駆け抜ける物語だ。

実は、馬賊とかスパイとかが出てくるお話が好きなので、読んでみたくなりました。アマゾンで検索すると、すでに絶版!

街の図書館で検索すると、なんとなんと!
予約待ちが3人!!
夕刊を読んで、読んでみたくなった人たちに違いありません。
とりあえず、予約しておきました。

さて、いよいよカウンターで本とご対面。
出てきた本というのが・・・、一瞬、引きました。児童文学書ってこんななんだ!
3

私の読書タイムは電車の中なのですが、児童文学書って挿絵があるんですね。
2
若干、周囲の目が気になります(笑)。

あらすじ

1巻から3巻まであります。

第1部 1939年

失踪した友達が、反日抗争の地下組織と繋がっているといううわさがあり、友達を探すだけなのに、憲兵や秘密警察に追われてしまう。
どこまで踏み込むべきか悩んでいるときに、モンゴル人の女性から
「なんであなたたちは死ぬことばかり考えるの?どう生きるかを考えないの?」
と問われます。
生まれてからずっと「お国のために死ぬ」という教育を受けてきた「皇国青年」にとって、衝撃的な問いかけでした。

第2部1943年

主人公・昭夫は植民地下の朝鮮に戻ってきて、兵器工場で働いています。昭夫は徴用されてきた朝鮮人たちを管理しています。
朝鮮人たちは、技術力の高い朝鮮人工員を、抗日地下組織に送り出すために「脱走」を計画して、成功させます。
その工場に、第1部で昭夫を追っていた秘密警察がやってきます。
朝鮮人たちの脱走計画を知った昭夫は・・・結局、また秘密警察に追われることになり、昭夫も地下組織、八路軍へ「脱走」します。

第3部1945年

日本は敗戦、朝鮮の解放と独立です。1巻と2巻で「私の分も生きて」と仲間に夢を託して多くの若者が犠牲になりました。
「その日」のために作られていた朝鮮の建国準備会は、さっそく動き出します。しかし、アメリカ、ソ連、そして負けたはずの日本軍の思惑が、38度線を作っていきます。それらの「思惑」詳細に語られます。

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あの時代を振り返る意味

夕刊では、故高畑監督の動機が紹介されています。

「経済大国となった日本が、無意識のうちに過去と同じ道を辿(たど)る危険を冒さぬために、映像でも、あの時代の歴史を若い世代に伝えたい」

主人公は、友達を探そうとしただけなのに、秘密警察から追われ、拷問を受けます。昭夫は秘密警察に、
「抗日組織に協力するのか!?お前は国賊だ!」
と言われるけれど、昭夫は旅の中で日本の戦争の実態を目撃して、悟ります。

「国賊は、お前らだ!」
― 負け戦を無理に続けて、日本をつぶしているのは、いったい誰だ。

タイトル『国境』

日本人だから、朝鮮人だから、モンゴル人だから、
というセリフもたくさん出てきますが、
「〇〇人だから」という理由で選んだ行動が、みんな同じになる場合もある。

主人公・昭夫のように、戦争の実態を知って、戦争を止めさせるための行動を選んだ日本人たちが何人も出てきます。

植民地下の朝鮮に住んでいた日本人たちは、「日本領土」にいたはずが、
敗戦の日を境に、そこは日本ではなくなりました。

タイトルの『国境』、ものすごく考えさせられます。
そして、映画化がとん挫してしまったこと、とても残念です。

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