映画『お嬢さん』騙し合いの果てに・・・え?そういう映画だったの?と騙されました

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他の映画を見る時に、『お嬢さん』の予告編を何度も見せられ、好みじゃないから見ないだろうと思っていましたが、見てよかったです。

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キャスト

韓国語原題:아가씨
監督:パク・チャヌク
韓国映画界の巨匠ですが、『JSA』しか見ていません。
代表作として挙げられる『オールド・ボーイ』は流血モノで、
最近の『渇き』はバンパイア映画…となると、足が遠のきます。

秀子:キム・ミニ
ホン・サンス監督との不倫騒ぎで名前を知りました。
豪邸の令嬢役。上月の支配のもと、男たちに春画を朗読する。

スッキ:キム・テリ
詐欺師やスリなどに囲まれて育ち、秀子から財産を奪う計画に加担する。
この役は新人がいいという監督の希望で、これがデビュー作。

藤原伯爵:ハ・ジョンウ
詐欺師。秀子と結婚して財産をだまし取ろうとする。
『暗殺』のハ・ジョンウがセクシーで格好良かったので、今回も期待していたのですが。

上月:チョ・ジヌン
日本の植民地時代の親日派朝鮮人。秀子を支配する「変態」。
変態を演じるために相当減量しているので、『根の深い木』のムヒュルとは別人になっているので、大丈夫です(何が?)。

佐々木夫人:キム・ヘスク
変態に仕えるお手伝いさん役です。
伯爵以下の3名、映画『暗殺』チームですね。

原作:サラ・ウォーターズの小説「荊の城」
原作の原題「Fingersmith」、韓国語「핑거스미스
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公式HPから

三部構成

予告編を見た時に「これは理解できない世界だ」と思いましたが、
1部は、秀子のお手伝いさんになったスッキの視点、
2部は、秀子の視点で描かれる、と聞いて、見たくなりました。
ちなみに3部は「その後」です。

同じ出来事を、見る人(視点)を変えて描くとどうなるか。
「海街ダイアリー」原作者・吉田秋生の「ラヴァーズ・キス」というマンガが、衝撃的でした。

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感想(14件)


映画は、予告編で「騙し合い」が強調されていたので、
1部と2部はそれほど意外ではなかったのですが、第3部の「その後」つまり、
ラストには、びっくりでした。

パク・チャヌク監督のインタビューによると、結末は原作とは違うらしいです。

女性賛歌なのか?(ネタバレします)

エロさと耽美を追求した映画だと思っていたので、騙されました。
上記インタビューで、監督は、
「抑圧されている状況の中で戦う女性が魅力的」と言っています。
まさに、そういう映画でした。

日本の植民地時代が舞台で、
登場人物は、日本語と朝鮮語をしゃべり、
上月の豪邸は、日朝さらに洋風もまざった建物で、
ブレンドしているというより、歪んでいます。

上月という変態が象徴するのが、植民地支配家父長支配男性支配で、
秀子は、そこから逃れたいけど、あまりに支配が強大なので諦めている。
伯爵は、秀子を「自由」にしてやると言うけれど、支配関係の枠内での自由です。

スッキは、朝鮮人の女性で、字が読めないし、お手伝いさんの身分という最下層にいるわけですが、
秀子への同情と共感と愛情と、詐欺技術によって、
すべての支配から解放してくれます。

秀子とスッキが手に手を取って走り抜ける姿が美しいです。

予告編にも出てくるこの鈴。
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江戸時代からある性具の「りん玉」というんですって。

居心地の悪いセリフ

最後は美しいんですけどね・・・。
上月が春画趣味とか、エロ要素が多いので、
性的なセリフが、日本語で!出てきます。

韓国人俳優がちょっとなまった日本語の性的セリフを、
観客の日本語母語話者が聞くという前提で作られているのか。

日本語母語話者は、この性的セリフを日本語でストレートに聞くので、
いささか居心地悪くなります。

でも「ろくでなし子」さんの「デコまん」事件もありましたが、
自分の体である性器の名称を口にできないというのもおかしな話です。

居心地わるい性器の連呼。
男たちに「言わされる」「やらされる」ものだった女たちが、
自分の性器を自分の手にとりもどす、という文脈で理解しました。

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男女の恋愛<男男<女女に惹かれる理由

ドラマでも映画でも「ブロマンス」が話題になりますが、

シスターロマンスというジャンルもあるんでしょうか。
秀子とスッキの場合は、一線を越えてしまっていますが。

そういえば、日本では「タラレバ娘」がヒットしています。
韓国語講座の受講生の方が貸してくださったので、マンガを読みました。

「~たら、~れば」と現実逃避しながら、恋愛でも仕事でも
男社会に飲み込まれることを良しとしているように見えながら、
最後は女同士が手を取り合って「自分で選択」をする。

男女が恋愛すると、その先に結婚という制度があります。
結婚すると家父長制に取り込まれます。
家を継ぐだの、長男を生めだの、夫に尽くせだの、嫁姑だの・・・。

家父長制に挑戦したドラマもありましたが、
現実は厳しすぎる。

そういうしがらみから自由なのが、
「男男」「女女」カップルなのかもしれません。
実際に「自由」を選択したときには、厳しい現実が待ち受けますが、
ドラマでは「美しい」男たちによるファンタジーです。

「美しい」男たちだとファンタジーになりますが、
ただの男たちだと、結末は阿修羅になってしまう。
血みどろの殺し合い。

しがらみから自由で、手に武器を持たず、
既成の枠からの解放という爽快さがある分、
「女女」の物語に、より共感と感動があるのかと思います。

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